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今回はPhotoshopを使って、写真の背景を一眼レフで撮ったようにぼかす方法をていねいに解説していきます。
コンデジやスマホで撮った写真でも、ぼかしを加えるだけでずいぶんと本格的な写真に見えるようになります。
1. 写真の背景をぼかす時のポイント
加工方法を紹介する前に「ぼかし加工を加える写真の選び方」と「ぼかすときの注意点」についてまとめておきます。「今すぐ加工方法を知りたい」という方は読み飛ばして頂ければと思います。⇒スキップ
1-1.ぼかすのは脇役だけ
写真をぼかすのは楽しいので、つい余計な物までぼかしてしまいがちです。
ぼかし加工を加えるときは「見せたいものをハッキリと残し、別に見せなくてもいいものをぼかす」ようにしましょう。そうすることで、見る人がどこを見ればよいのかすぐに分かる印象的な写真になります。
1-2.手前はクッキリと、背景をぼかす
基本的に手前のものをぼかしましょう。その方がぼけ方が自然で、一眼レフで撮った写真らしくなります。
1-3.ピント位置から離れるほど、ぼかしが強くなるのが自然
上の写真を見ると分かりやすいのですが、ピントが合っている手前の明かりから離れるほど(奥にいくほど)ぼけ味が強くなっています。ぼかし加工をするときもピント位置から離れた部分ほど強くぼかすようにすると、より一眼レフで撮ったように自然に見えます。
1-4.境界が分かりづらい写真は加工が難しい
上の写真をぼかすことを考えてみましょう。写真の「どこからどこまでぼかすのか」が決めづらいですよね。このような境界があいまいな写真だとぼかし加工の難易度が少し上がります(不自然に見えやすくなります)。とはいえ、できなくはありません。後で加工方法を紹介します。
1-5.手前と背後の境界がハッキリ分かれていると、ぼかしが楽
この写真のように手前(女性と石塀)と背景の境界線がハッキリと分かれている写真なら、ぼかし加工を加えるのがとても簡単です。加工写真を選ぶときには「ぼかす部分とぼかさない部分の境界がハッキリ分かれているかどうか」を意識して見るようにしましょう。
2. 主役と背景の境界がハッキリしている場合のぼかし方
完成イメージ
はじめに車の写真の背景をぼかしてみます。写真データはこちらからダウンロードできます。
写真の加工手順
黄色で塗った部分をぼかします。比較的、手前との境界がはっきりとしているのでぼかしやすいですね。
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画像を開く
加工したい画像をフォトショップで開きます。
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画像のレイヤーを複製
レイヤーパネルで加工する画像のレイヤーを複製しておきましょう。画像のレイヤーを右クリックし[レイヤーを複製]を選びます。 ※ レイヤーパネルが表示されていない場合は、画面最上部のヘッダーメニューから[ウィンドウ]⇒[レイヤー]をクリックしましょう。 ※ 画像が背景レイヤーとなっている場合でも、同様に右クリックで複製すればOKです。
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クイック選択ツールを選ぶ
背景の選択範囲を作ります。クイック選択ツールを選び、オプションバーで「+のついたブラシアイコン」を選びましょう。これでドラッグした部分が選択範囲としてどんどん足されていくようになります。
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背景をドラッグして選択
ぼかしを加える背景をドラッグして選択していきます。細かな部分を選択するときは、オプションバーでブラシサイズを小さくしましょう。選択しすぎてしまった部分はalt (option)を押しながらドラッグすれば、選択範囲から削除されます。
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クイックマスクモードに
選択ができたら、オレンジ枠で囲まれたアイコンをクリックしてクイックマスクモードにします。選択範囲外が赤くなるのできちんと選択されているかがよくわかります。フォトショップ初心者の方は『クイックマスクで選択範囲を調整』が参考になると思います。
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消しゴムツールを選択・設定
背景との境界のあたりも少しぼかしたいですよね。そんなときは柔らかい半透明な消しゴムで境界のあたりをうっすらと消しましょう。消しゴムツールを選び、硬さを30%以下に、不透明度も50%以下にしましょう。
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背景との境界をドラッグ
背景との境界を何回かに分けて少しずつドラッグしていきましょう。これで境界がだいぶぼんやりとしました。少しボコボコしてしまいましたが、良しとしましょう…。
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選択範囲が完成
もう1度クイックマスクのアイコンをクリックすれば選択範囲に戻ります。
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レイヤーマスクを追加
レイヤーパネルでレイヤーマスクを追加します。すると選択範囲で画像が切り抜かれます。上のレイヤーは背景だけが残った画像になります。とはいえ下のレイヤーには切り抜かれていない画像があるので、ぱっと見は変わりません。
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ぼかし(レンズ)を加える
マスクの方が選ばれてしまっているので、画像のアイコンをクリックして画像を選択しておきます。 メニューバーから[フィルター]⇒[ぼかし]⇒[ぼかし(レンズ)]をクリックしましょう。
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設定を変える
設定画面が開きます。設定を変えるのは[半径]だけです。つまみを右に動かすほど、より強くぼけるようになります。プレビュー画像を見ながら、適度なぼかし具合に調整して[OK]をクリックします。※例では半径=11にしました。
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【完成】背景がぼける!
背景がぼんやりとぼけました。※ctrl (⌘)+Dで選択範囲が解除されます。
参考
【仕上げ】色調調整
せっかくなので色調調整でより写真を本格的にしましょう。レイヤーパネルから[明るさ・コントラスト]の調整レイヤーを追加します。
参考
明るさ・コントラストを調整
設定画面が属性パネルに表示されるので、明るさとコントラストをそれぞれ上げましょう。これで写真によりコクが出ます。
参考
彩度を上げる
同様に[色相・彩度]の調整レイヤーを追加し、彩度を上げます。写真の鮮やかさが適度に増しました。
3. 主役と背景の境界があいまいな場合のぼかし方
今度は背景との境界が少しあいまいなものをぼかしてみましょう。例として使用するポートレート写真のデータはこちらからダウンロードできます。
完成イメージ
何か難しいかというと地面のぼかし方です。ダンディーにキメているお兄さんの足元周辺はあまりぼかさず、奥にいくほどぼかしを強める必要があるわけです。
写真加工の手順
さきほどの例と手順はあまり変わりませんが、こちらもできるだけ丁寧に解説していきます。
黄色い部分をぼかします。奥にいくほどぼかしを強めます。
1
レイヤーを複製
画像のレイヤーを複製します。ここからは複製レイヤーを触っていきます。
2
クイック選択ツールを選ぶ
選択範囲を作ります。クイック選択ツールを選び、オプションバーで「+のついたブラシアイコン」を選びましょう。
3
背景をドラッグで選択する
背景をドラッグして選択していきましょう。
4
クイックマスクで選択範囲を調整
クイックマスクモードにして選択範囲を調整します。赤がはみ出てしまっている部分は消しゴムで消し、塗りきれていない部分はブラシで塗り足します。調整ができたら再度クイックマスクのアイコンをクリックし、選択範囲の状態に戻します。
5
レイヤーマスクを追加
レイヤーパネルで画像にレイヤーマスクを追加します。これで複製レイヤーの背景部分が切り抜かれました。マスク(画像を覆っているもの)の方が選択されてしまっているので、画像のアイコンをクリックして画像の方を選択しておきます。
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虹彩絞りぼかしをかける
メニューバーから[フィルター]⇒[ぼかし]⇒[虹彩絞りりぼかし]をクリックします。するとぼかしフィルターの設定画面が開きます。プレビュー画面の上に幾何学的な楕円が表示されていますが、これは「この円の中心から外に向かってだんだんとぼかしがかかっていく」ということを表しています。
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ぼかし範囲の中心を下げる
ここが今回の加工のキモです。まずプレビュー画面上の楕円の中心をドラッグして、画像の下端あたりに動かしましょう。これで足元のぼかしが軽減されます。
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範囲を横に広げる
楕円の左右の●をドラッグして広げます。画像の右下と左下を楕円が覆うようにしましょう。これで足元から奥に向かって段々とぼかしがかかるようになりました。
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ぼかしの強さを調整
画面右側の[ぼかし]のつまみでぼかし具合を調整します。プレビュー画面を見ながら適度なボケ味になるまで動かしましょう。その後、画面右上のOKをクリックします。
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完成!
選択範囲を解除したら完成です。足元から奥に向かって背景のボケ味が段々と強くなっています。お兄さんが1.5倍くらいキマって見えますね。
ポートレート写真なら背景をぼかした後に以下の記事のように「映画風に加工」してみても面白いかもしれません。
4. まとめ
- 加工写真を選ぶときはなるべく「ぼかすもの」と「ぼかさないもの」の境界がハッキリしているものを選ぶ
- まずは、クイック選択ツールなどで選択範囲を作成
- クイックマスクモードにして選択範囲の確認。必要に応じて柔らかな半透明の消しゴムを使って境界をなめらかに
- 境界が比較的ハッキリしている場合はぼかし(レンズ)を使う
- 境界があいまいな場合は虹彩絞りぼかしを使って、奥に向かってぼかしを強める