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Photoshopを使っていると必ず目にするのが「スマートオブジェクト」です。この記事では「スマートオブジェクトとはどのようなものなのか」に始まり、スマートオブジェクトの「作り方」、「解除方法」まで説明します。
1.スマートオブジェクトとは?
スマートオブジェクトとは、簡単にいうと「縮小と拡大を繰り返しても、劣化しない画像のデータ形式」のことです。
Photoshopで開いた写真はスマートオブジェクト化していないと、一度でも縮小すると画像が劣化してしまいます。そのため、画質を保ったまま縮小したいときはスマートオブジェクトに変換しておくと良いのですね。
2. 画像をスマートオブジェクトに変換する方法
たとえば、サルワカくんの顔の画像をスマートオブジェクトにしてみましょう。
手順はシンプルです。まず、レイヤーパネルでスマートオブジェクト化したい画像のレイヤーを右クリックします。次に「スマートオブジェクトに変換する」をクリックします。これだけで画像はスマートオブジェクトに変換されます。ぱっと見ても変化はありませんが、縮小⇒拡大を繰り返しても画像が荒くならないはずです。スマートオブジェクトの場合は、レイヤーのアイコン画像にこんなマークがつくので簡単に見分けられます。
デメリット:ファイルが重くなる
何となく想像がつくかと思いますが、スマートオブジェクトは縮小しても画像を一切劣化させない形式ですので、多用するとファイルが重くなってしまいます。とはいえ、実際に作業を進めていく中で「重くなったな…」と感じたときに、必要に応じてスマートオブジェクトを解除すれば良いでしょう(解除の方法は後ほど説明します)。
3.『ピクセル』『シェイプ』…分かりづらい画像の話
スマートオブジェクトについて何となくつかめてくると、次に湧いてくる疑問は「じゃあスマートオブジェクトじゃないものは何なの?」ということですよね。Photoshopでは、ピクセルやシェイプ、ベクター、ラスター…など数々の今いち関係性が分かりづらい言葉が登場します。ここでは、それらとの関係性をざっと解説します。
画像は「ビットマップ(ラスター)」と「ベクトル(ベクター)」に分けられる
Photoshopに限らず、画像は「ビットマップ画像」と「ベクトル画像」の2つに大きく分けられます。
ビットマップ(ラスター)画像とは?
ピクセル(点)の集まりで構成されている画像です。写真や絵はこのビットマップに分類されます。点の集まりなので、拡大していくと点の細かさに限界がきて画像が荒くなってしまいます。しかし、その分きめ細やかな色表現をすることができます。Photoshop上での『ピクセル』という画像形式はこのビットマップに当てはまります。
ベクトル(ベクター)画像とは?
点と線を数値化し、それをコンピュータが再現してくれます。コンピュータが再現するため、どれだけ拡大しても画像が荒くならないのですね。じゃあ、ベクター画像が最強じゃないかと思いますが、写真なんかをベクター画像で再現することはできません。なぜなら「世の中のものの細かな色の違いなんかを1つ1つ数値化して、それをコンピュータで再現するのは大変なことだから」です。なんだか哲学的な話しになってしまいましたね。フォトショ・イラレにおける『シェイプ』『パス』なんかはこのベクター画像に当てはまります。
詳しくは下の記事で解説しています。
ピクセル画像をスマートオブジェクトに変換
ビットマップのピクセル画像はその細かさに限界があります。そして、Photoshopではピクセル画像の縮小拡大を繰り返すと、さらに画像が荒くなってしまいます。しかし、ピクセル画像をスマートオブジェクトに変換しておくと縮小・拡大をくりかえしてもそれ以上画像の細かさが落ちることはなくなるのです。スマートオブジェクトは、Photoshopの素晴らしい機能なんですね。
5. スマートオブジェクトの編集方法
実は、スマートオブジェクト自体を編集することはできません。例えば、スマートオブジェクトに何かを描き足したり、色を変えたりするには次の方法を取らなければなりません。
編集方法その1:ラスタライズする
さきほどの説明(ここ)から何となく想像できるかもしれませんが一度ビットマップ(ラスター)画像にしてしまえば、好きなように編集ができるようになります。
編集方法その2:別データとして開いて編集
いちいちラスタライズするのも面倒なので、データが重くなりすぎない限り、基本的にこの方法を取るのが良いでしょう。
上の図のように、編集したいスマートオブジェクトのレイヤーのマークをダブルクリックします。これによりスマートオブジェクトの画像が別ファイルで開きます。別ファイル上では画像を好きに編集でき、「上書き保存」をすれば元のデータにもその編集内容が反映されます。
色調補正をするには?
スマートオブジェクトには「彩度を変えたり」「明度を変えたり」などの色調補正を直接することもできません。そのため「調整レイヤー」というレイヤーを上にのせて間接的に色調補正を行うことになります。とはいえ、スマートオブジェクトに対して色調補正を行おうとすれば、自動で調整レイヤーが使われるのでとくに特別な作業などをする必要ありません。
上の図のように「レイヤーパネル」もしくは「色調補正」パネルから色調補正を行おうとすれば自動で調整レイヤーが作成されます。
フィルターをかけるには?
また、スマートオブジェクトは「ぼかし効果」などのフィルターを直接かけることもできません。そのため「スマートフィルター」を作り、間接的にフィルター効果をかけることになります。とはいえ、こちらもスマートオブジェクトに対してフィルターをかけようとすると自動でスマートフィルターになるので特別意識する必要はありません。いつもどおり「フィルターメニュー」から「ぼかし」などを選択すればOKです。
調整レイヤー/スマートフィルターは簡単に取り消せる
いうまでもないかもしれませんが、調整フィルターは、レイヤーパネルのをクリックすれば、外すことができます。
調整レイヤーを真下の画像にのみかける方法
ちょっとマニアックですが、調整レイヤーは下にある全ての画像に対して色調補正をかけてしまいます。真下の1画像のみに適用したい場合は、Photoshop1番上の「レイヤー」メニューから「クリッピングマスクを作成」をクリックしましょう。
スマートオブジェクトのコピーはまとめて編集される
スマートオブジェクトにはもう1つ特徴があります。それはコピーしたスマートオブジェクトはまとめて編集されるということです。
例を出して説明します。
↑例として、サルワカくんのスマートオブジェクトを複製しました。元データとコピーデータができましたね。
ここで、コピーしたスマートオブジェクトを編集した場合、コピー元のスマートオブジェクトにも編集内容が反映されるのです。複製したものは数に関係なくリンクしているのですね。
6.ベクトルスマートオブジェクトとは?
ベクトルスマートオブジェクトとは、Illustratorで作ったデータをPhotoshopに配置するときに変換して作られるスマートオブジェクトのことです。イメージは以下の図のようになります。
Illustratorで作ったデータをPhotoshopに貼り付けるとき「スマートオブジェクトに変換するかどうか」を聞かれます。そのときにスマートオブジェクトを選ぶと「ベクトルスマートオブジェクト」になるのですね。ベクトルスマートオブジェクトの素晴らしいところは、縮小・拡大しても画像が劣化しないこと以上に「もう一度編集したいな」と思ったときに簡単にIllustratorで開き、再編集できることです。
ベクトルスマートオブジェクトの編集方法
上の図にベクトルスマートオブジェクトの具体的な取扱い方法をまとめてみました。貼付けから再編集までの手順はこんな感じになります。
イラレからの貼付け
- イラレで作ったデータを、フォトショにコピペ
- どの形式で貼りつけるか聞かれるので「スマートオブジェクト」を選ぶ
- ベクトルスマートオブジェクトとしてデータが貼られる
イラレで再編集
- 「やっぱりデータを変えたいな…」と思ったときにはレイヤパネルのマークをダブルクリック
- 再度イラレでデータが開かれ、編集ができるようになる
- 編集が終わったらIllustratorで上書き保存
- フォトショのデータにまで変更が自動反映される
7.まとめ
- スマートオブジェクト=縮小と拡大を繰り返しても、劣化しない画像データ
- 画像をスマートオブジェクトに変換するには「スマートオブジェクトに変換」をクリック
- 画像は「ビットマップ(ラスター)」と「ベクトル(ベクター)」の2つに分けられる
- スマートオブジェクトを解除するためにはラスタライズする
- スマートオブジェクトの編集は、別データで開くのが楽
- ベクトルスマートオブジェクトとは、イラレで作ったデータをフォトショに配置するときに変換して作られるスマートオブジェクトのこと