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この記事では、画像・写真の中の一部を自然に動かす方法を解説します。ものすごく簡単なのでフォトショ初心者の方もご安心ください。ただし、加工の際に使用する[コンテンツに応じた移動ツール]は、Photoshop CC もしくは CS6でしか対応していないのでご注意ください。
1. 写真加工の事前準備
1-1. 例として使用する写真
今回使用するのは、こちらの写真です。外国人のお兄さんが高くジャンプしております。商用フリーの写真でこちらからダウンロードができます。
1-2.完成イメージ
ただでさえ高く飛び、皆から羨望の眼差しで見られているお兄さんのジャンプ力をさらに上げてしまいましょう。
1-3. 画像を開きましょう
まず、加工する画像を開きましょう。Photoshopをはじめたばかりで画像の開き方、フォトショの基本的な画面の見方がよく分からないという方は、こちらの記事を参考にしてみると良いでしょう。
2.[コンテンツに応じた移動]で写真の一部を動かす
所要時間:3分
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コンテンツに応じた移動ツールを選ぶ
アイコンを右クリックするとこの画像のようにツールを一覧表示できて便利です。
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オプションバーの設定
画面上部のオプションバーで、コンテンツに応じた移動ツールの設定を行います。モードを[移動]、適応を[中間]にしておきましょう。それ以外は触らなくてOKです(あとで説明します)。
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動かしたいものをぐるっと囲む
次に写真内の移動対象をドラッグして囲みましょう。これで選択範囲が作られますね。対象を大まかに囲えばOKです。
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動かしたい位置までドラッグ
次に選択範囲の中心あたりから、動かしたい位置までドラッグしてみましょう。
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そのまま移動した!
選択範囲内のお兄さんがそのままドラッグした位置まで動きました。ジャンプ力が恐ろしいことになりましたね。
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完了!ここからは微修正
ctrl(⌘) + Dで選択範囲を解除しましょう。これで完了なのですが、拡大すると身体のまわりに白いモヤがかかってしまっていることが分かります。一応これを直していきましょう。※写真によっては[コンテンツに応じた移動ツール]だけで微修正が必要ないほどに綺麗になります。
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修復ブラシツールを選択
白いモヤが目立つので、モヤとその外との境界を滑らかにしましょう。まず、修復ブラシを選びます。
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白モヤの外側をaltを押しながらクリック
まず白いモヤの外の濃い部分をalt(option)を押しながらクリックします。これでクリックした部分のサンプルが保存されました。
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altを離して、白モヤとの境界線をクリック
次にaltを離して、サンプルを取った部分のすぐ隣の境界の部分をブラシで塗るようにぐるぐるとドラッグします。すると、境目がなめらかになっていきます。これを境界全体で行いましょう。このとき、サンプルは塗る部分の近くで、こまめに取るようにしましょう(alt + クリック)。※ この修復ブラシのサイズは、画面上部のオプションバーで変えられます。
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白モヤとの境目が自然になった
拡大してみると、はっきりしていた白モヤとの境界が、だいぶ自然になりました。
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微修正 完了!
これを続ければ微調整が完了です。お兄さんのジャンプ力にだいぶ信憑性が出ましたね。
3.[コンテンツに応じた移動]のオプションバー設定
さきほど、するっと飛ばした[コンテンツに応じた移動ツール]のオプションバーの設定をもう少し詳しく見てみましょう。
3-1. 選択範囲設定
まずオプションバーのいちばん左の□だらけのアイコンの部分ですが、こちらは移動させる対象物を選択するときの設定です。例えば、2番目のアイコン(選択範囲に追加)を選ぶと、すでに選択された部分は残したまま、新しく選択した部分は追加されていきます。つまり選択範囲は「元から選んでいた範囲」+「新しく選んだ範囲」になるといった具合です。3番目の(選択範囲から一部削除)は便利かもしれないですね。選びすぎたらここをクリックした上で、消したい部分をドラッグしていけば良いのです。
3-2. モード:[移動]と[拡張]の違い
また、オプションバーのモードという項目では[移動]と[拡張]の2種類の選択肢があります。これを変えることでツールの機能が大幅に変わってきます。
[移動]を選択すると
さきほどの例では[移動]を選んでいましたね。この場合、純粋に選択範囲内の対象物がドラッグ先に移動します。つまり、元あった場所には残りません。
[拡張]を選択すると
一方で[拡張]を選択すると、移動対象物がドラッグ先に移動するだけでなく、元あった場所にも残ります。つまり複製になるわけです。
3-3. 適応:[中間][厳密に][ゆるく]の違い
オプションバーの適応という項目では[非常に厳密に][厳密に][中間][ゆるく][非常にゆるく]の5種類から選択ができます。これはもともと選択範囲内にあったものを、移動先でどれだけ忠実に再現するかという程度を決めるものです。
適応の各項目の違い
- [非常に厳密に]もともとの形をそのまま残す
- [厳密に]もともとの形をだいたいそのまま残す
- [中間]←基本的にこれでOK
- [ゆるく]もともとの形を残しつつも、移動先の背景になじませることを優先
- [非常にゆるく]移動先の背景になじませることを優先
例)[非常にゆるく]を選んだ場合
背景になじませることを優先した結果、形が変わってしまいました。[非常にゆるく]を人に使うとこのようにホラーのようになってしまいがちですが、例えば形が多少変わっても違和感のない植物などにはとても有効です。
とはいえ、基本的には[中間]を選んでおき「うまくいかないな」と感じたときに設定を変えれば良いでしょう。
3-4. 「全レイヤーを対象」とは?
[コンテンツに応じた移動ツール]のオプションバーの1番右側に「全レイヤーを対象」という項目があります。ここにチェックをつけると、画像レイヤーが複数枚重なったデータのとき、選択中の画像レイヤーだけでなく、ファイルの全レイヤーに対して、移動機能を実行してくれるようになります。
4.[コンテンツに応じた移動]で写真の一部を複製
所要時間:2分
さきほど設定のところでも触れましたが、[コンテンツに応じた移動ツール]を使用するときに、オプションバーで適応:[拡張]を選べば、画像の一部を複製することができます。基本的には[移動]と方法は同じですが、一応イチから説明していきます。
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コンテンツに応じた移動ツールを選ぶ
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モードを[拡張]に
モードは[拡張]にします。これによりドラッグすると複製されるようになります。適応は[中間]にしておけば良いでしょう。
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コピーしたいものをドラッグして囲む
さきほどと同じですね。ちょっと広めに選択しましょう。
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複製したい位置までドラッグ
背景が似ているところにドラッグすると綺麗に複製されやすくなります。
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複製された!
簡単ですね。
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選択範囲をさらにドラッグするともう1つ複製
あまり使うことは無いかもしれませんが、選択範囲をさらにもう一度好きな位置にドラッグすると、そこにもう1つ複製が作られます。便利ですね。
5.うまく移動・複製ができないとき
うまく[コンテンツに応じた移動]ができないときは、もしかすると次の原因があるかもしれません。
画像がスマートオブジェクトになってしまっているとき
スマートオブジェクトの画像はそのまま加工することができません。スマートオブジェクトの場合は、レイヤーパネルで画像の右下に、小さなアイコンがついているはずです。このアイコンをクリックして、別ファイルとして画像を開けば加工できるようになります。
加工したい画像のレイヤーが選択されていないとき
加工したい画像のレイヤーがきちんと選択されているか、レイヤーパネルで確認しましょう。もし複数枚の画像レイヤーに対してまとめて適用させたい場合は、さきほどの説明の通り、[コンテンツに応じた移動]のオプションバーで[全レイヤーを対象]にチェックをつけましょう。
写真の背景が複雑なとき
[コンテンツに応じた移動ツール]は、背景が複雑なとき(街や人混みとか)に使ってもあまりうまくいきません。主に自然が背景のときに使えるものだと思っておきましょう。複雑な背景のときは、細かく選択範囲を設定して、切り取ってコピペ…という手段を取るしかないでしょう。
加工したい画像のレイヤーが選択されていないとき
加工したい画像のレイヤーがきちんと選択されているか、レイヤーパネルで確認しましょう。
ドラッグ先の背景が複雑なとき
ドラッグ先の位置によって移動や複製の自然さが変わってきます。「もうちょっと良いドラッグ先があるかも」というときはCtrl(⌘) + Zでドラッグ前の状態に戻りましょう。
6. まとめ
- [コンテンツに応じた移動ツール]で、画像の一部を移動or複製できる
- ただ移動させたいならオプションバーで[移動]にする
- 複製したいならオプションバーで[拡張]を選ぶ
- 移動先にうまく馴染まなかったら、修復ブラシツールなどで微修正
写真の一部を除去したい場合は
移動や複製ではなく「写真の不要物を除去したい」というときは、こちらの記事の手順を行うのが良いでしょう。
Photoshopの使い方を本で学びたい方はこちらの記事をどうぞ