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節税になる、将来もらえるお金が増える・・・そんなお得な小規模企業共済ですが、本当にお得なだけでしょうか。この記事では、小規模企業共済のデメリットについて解説します。
デメリット1: 将来受け取るお金が減る場合がある
納付した掛け金の合計額よりも多い金額を将来受け取れる、というのが小規模企業共済のメリットのひとつです。しかし、場合によっては将来受け取れる金額が、それまで支払った合計金額を下回ることもあります。
将来もらえるお金が減ってしまうのは、主に次のような場合です。
その1: 早期の任意解約をしたとき
小規模企業共済は退職金のような制度であり、長期間加入することが前提となっています。そのため、加入後20年未満で任意解約した場合は受け取る金額が少なくなります。
受け取るお金の種類が変わる
任意解約の場合は、受け取るお金は「共済金」ではなく「解約手当金」となります。
どれくらい少なくなるのか?
任意解約の場合、納付期間が7年未満なら「解約手当金=掛け金合計の80%」となります。7年以降は、段階的に割合が上昇します。
解約手当金=掛け金合計の100%になる、つまり掛け金を全額返してもらうためには、20年以上の納付が必要です(掛け金以上を受け取るには20年7ヶ月以上)。なお、1年未満なら掛け捨てとなり、お金は1円も戻ってこないので注意しましょう。
※受け取るお金の種類についての解説はこちら↓
その2: 短期間で掛け金を増減したとき
小規模企業共済のメリットのひとつとして、「自分の経済状況に合わせて掛け金の額を調整できる」があります。しかし、これが意外な落とし穴となっています。
頻繁に掛け金を変更すると、「納付期間が短い」と判定され、受け取る金額が少なくなってしまうことがあるのです。
なぜ「納付期間が短い」となるのか?
「納付期間が短い」と判定されてしまう原因は、納付期間のカウント方法にあります。納付期間のカウント開始は、初めて納付したとき(=加入時)ではないのです。
納付期間のカウント例
例えば、2018年1月に7万円で納付開始し、2023年1月に減額して5万円納付したとします。その後、2038年1月時点で解約した場合をみてみましょう。
この場合、初めて納付したときからの納付月数は240ヶ月ですが、最初の7万円が「2万円+5万円」という考え方になり、2万円と5万円で納付月数を別々にカウントします。
つまり、2万円が60ヶ月、5万円が240ヶ月となります。
2万円の分は60ヶ月というカウントになるため、掛け金合計の80%しか返ってきません(100%返してもらうには240ヶ月必要)。5万円の分は240ヶ月あるので、100%返ってきます。よって、掛け金合計は1,320万円となるにもかかわらず、受け取る解約手当金は1,296万円となってしまうのです。
デメリット2: インフレに対応していない
お金の価値が、掛け金を支払った時点と受け取る時点で同等とは限りません。物価が上がる現象(インフレーション)が起こった場合、お金の価値は相対的に下がります。
例えば、ハンバーガーが値上がりすれば、買うためにより多くのお金が必要ですね。(お金1枚あたりで買えるハンバーガーの個数が減る)
そうなると、同じ量のお金であっても価値は異なるので、購入できるハンバーガーの量に差が生じます。
つまり、将来インフレが起こってお金の価値が下がってしまった場合、掛け金合計と同じ金額を受け取ったとしても、実質的な価値は下がった状態となります。
インフレに対応して受け取る金額が調整されればこの問題は防ぐことができますが、残念ながら小規模企業共済はこれに対応していません。
デメリット3:解約手当金は圧倒的に不利
掛け金を受け取る主な条件は、以下の3パターンがあります。
- 廃業する
- 65歳に達する
- 法人成り・任意解約する
このうち「1.廃業」「2.65歳に達する」は受け取るお金の種類が「共済金」となりますが、「3.法人成り・任意解約」は、「解約手当金」を受け取ることになります。(法人成りの場合は「準共済金」の場合もあり)
この「解約手当金」については「掛け金合計を下回る可能性がある」ということをデメリット2で解説しましたが、税制上でも不利になります。
廃業時等に受け取る共済金は一括受け取り時に「退職所得扱い」になり、控除額が大きいため、所得税は少なく済みます。しかし、任意解約で受け取る解約手当金は「一時所得扱い」になるため控除額が少なく、払う所得税は多くなります。
※お金の受け取り方の解説はこちら↓
まとめ
小規模企業共済のデメリット
- 納付額変更や解約のタイミングによっては将来受けとるお金が減る
- インフレが起こった場合受け取るお金の価値は下がる
- 解約手当金の場合は不利になる
小規模企業共済は掛け金が控除されるなどメリットも多いですが、デメリットももちろんあります。インフレへの対応はどうしようもありませんが、納付期間に気をつけることはできます。しっかり把握した上で、制度を活用しましょう。
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