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個人事業主になって節税を意識するとよく目にするのが「小規模企業共済」です。
- 具体的にどのような制度なのか
- メリットは何なのか
- デメリットはあるのか
このページではこれら3点について解説します。
1.小規模企業共済の制度について
どのような制度なのか
小規模企業共済は、退職金の出ない小規模企業の経営者・役員や、個人事業主のための制度であり、毎月自分で決めた金額を積み立て、それを退職時あるいは廃業時に受け取る、という制度です。
廃業しなくても、条件さえ満たせば65歳以上で受け取ることができるお金もあります。
運営しているのはどこか
独立行政法人中小企業基盤整備機構という国の機関が運営しています。民間企業ではありません。
誰が加入できるのか
詳しくは小規模企業共済のwebサイトをご覧いただければと思いますが、簡単にいうと「従業員が5人または20人以下の個人事業主または会社の役員・共同経営者」です。(人数は業種によります)
積み立てはどのように行うのか
積み立てるお金である「掛金」は、
- 1000円〜70000円の範囲で自由に設定
- 500円単位で設定可能
- 個人の預金口座から振替(引き落とし)で払う
- 金額は増額または減額可能
- 小規模企業共済は、小規模な企業の役員や個人事業主のための制度で、国の機関が運営している。
- 掛金を、退職金代わりとして積み立てていく。
- 掛金は、自分の収入に合わせて自分で調整・設定できる。
2.小規模企業共済のメリット
小規模企業共済の主なメリットとしては、次の3点が挙げられます。
その1:節税になる
小規模企業共済の最大のメリットは「節税になること」です。
所得や納付期間によっても異なりますが、例えば「毎年平均して所得金額が400万円くらいの人が、月々3万円を15年間納付した場合」の節税額は、約160万円にもなります。なお、節税になるタイミングは2回あります。
掛け金を納付したとき
掛け金を納付したときは、その全額が所得から控除される(=その金額を稼いでいないことになる)ので、支払うべき税金が少なくなります。
お金を受け取るとき
将来お金(共済金)を受け取るときにも、もちろん税金がかかります。しかし、共済金を一括で受け取ると「退職所得扱い」となり、普通の所得よりも税金が少なく済むのです。
その2:掛け金以上のお金を受け取れる
小規模企業共済のメリット2つめは、積み立てた金額以上を回収できることです。受け取り事由、納付期間等さまざまな条件はありますが、長く納付すると将来受け取れるお金が増えます。
その3:経済状況にあわせて納付できる
メリット3つめは、月額1,000円〜70,000円の範囲内で納付額を調整することができることです。そのため、稼ぎが少なくなってきたら納付額を減額する、あるいは軌道にのったら増額する、といったことができます。
また、収入が少なくなりすぎた場合には、一定期間「掛止め」し、納付を停止することもできます。つまり、自分の経済状況に合わせて無理なく納付し、将来に備えることが可能なのです。
- 納付した金額は所得から控除され、受け取る時も税制上有利な退職所得になるため、節税になる。
- 長く納付すると、納付した金額より多くお金を受け取ることができる。
- 金額の増減、掛止めの利用により、自分の経済状況に合わせて無理なく納付できる。
3.小規模企業共済のデメリット
節税にもなりお金も増える、とてもありがたい制度ですが、もちろんデメリットもあります。ここではざっくりと述べたいと思います。
早期の任意解約は損になる
「経営者の退職金」を謳っている制度ゆえ、老後(あるいは廃業時)前の早い段階で自己都合で解約する場合は、高確率で損になります。
解約時には「解約手当金」を受け取ることになりますが、20年間納付していなければ、この「解約手当金」の金額が今まで納付した合計額を下回ってしまうのです。
短期間で増・減額すると損になる場合がある
これは計算がややこしくなるのですが、短期間で増額や減額をした場合、変更した金額分の納付月数が少なくなり、もらえるお金が少なくなる可能性があります。
インフレに対応していない
小規模企業共済は、物価が変わっても将来もらえる支給額の調整がありません。将来に備えた制度ですが、お金を受け取る「将来」にインフレで物価が高騰している場合(つまりお金の価値が下がっている場合)、もらえるお金の実質的な金額は低くなります。
これらデメリットについては、こちらのリンクで詳しく解説しています。
まとめ
小規模企業共済は、退職金制度のない個人事業主や経営者にとって将来に備えることができるありがたい制度です。納付した分は所得から控除されるので節税になります。また、将来もらえるお金は掛け金以上になることもあり、大変お得になっています。
ただし、お得な面もあればデメリットもあります。場合によっては損をすることもありますので、制度をしっかりと把握してから申し込むことをおすすめします。
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