小規模企業共済の仕組み〜お金の種類と受け取り方〜

小規模企業共済のお金の種類

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「小規模企業共済とは?」では小規模企業共済の概要について解説しました。

このページでは、小規模企業共済で掛け金を支払っていったときに「どのようなお金」を「どのように受け取ることができるのか」の2つについて解説します。

1. 受け取るお金(共済金・解約金)について

サルワカくんの顔(怒)
サルワカくん
受け取るお金についてはお金の種類が複数あり、さらに受け取り方も複数あります。受け取るための条件もそれぞれ異なり、複雑になっています。ひとつずつ解説していきます。(個人事業主に的を絞って解説しますが、会社役員でもさほど違いはありません)

納付期間が長いと受け取るお金が増える

後ほど詳しく解説しますが、一定の期間以上納付すると、支払った掛金以上のお金を受け取ることができます。ただし、受け取るお金の種類によって期間や条件は異なるので注意しましょう。

納付期間が短すぎるとお金が受け取れない

受け取るお金の種類によって期間は異なりますが、納付期間が短すぎる場合、お金を全く受けとれなくなる、あるいは受け取るお金が掛け金より少なくなってしまうので注意が必要です。

2. 受け取るお金の種類

受け取るお金は全部で4種類あり、そのうちどれかになります。

  1. 共済金A(廃業・死亡時)
  2. 共済金B(老齢給付)
  3. 準共済金(法人成りによる解約時)
  4. 解約手当金(任意解約時)

その1: 共済金A

どんな場合?

共済金Aは、廃業した場合や本人が死亡した場合に受け取るお金です。また、配偶者または子に事業の全部を譲渡した場合も、受け取ることができます(H28.4以降)。

必要な納付期間は?

共済金Aを受け取るためには、掛金納付月数が最低6ヶ月必要です。これを下回ると、お金を1円も受け取ることができません。

掛金全額以上を受け取るには?

36ヶ月以上納付すれば、今までの掛金と同額以上を受け取ることができます。

小規模企業共済共済金A

その2: 共済金B

どんな場合?

共済金Bは、65歳以上になったときに、廃業していなくても受け取れるお金です。

必要な納付期間は?

15年納付すると、共済金Bを選択することができます。なお、15年のうちに増額・減額などした場合、増減した金額分の納付期間が6ヶ月に満たないと、その分は掛け捨てになってしまいます。

掛金全額以上を受け取るには?

共済金A同様、納付期間が最低36ヶ月必要です。

共済金B

その3: 準共済金

どんな場合?

準共済金は、個人事業主が法人成りして解約する場合に受け取れるお金です(役員になっているか等、条件あり)。

必要な納付期間は?

お金を受け取るためには掛金納付月数が最低12ヶ月必要です。つまり、加入から1年未満で法人成りすると確実に掛け捨てになってしまいます。

掛金全額以上を受け取るには?

12ヶ月以上納付していれば、基本的に掛金全額が戻ってきます。ただし、18年7ヶ月以上納付していれば、ちょこっと増えた金額がもらえます。それ未満なら、掛金全額がそのまま戻ってきます。

準共済金

その4: 解約手当金

どんな場合?

解約手当金は、任意で解約した場合に受け取るお金です。つまり、廃業もせずに自己都合で解約する場合などです。また、法人成りしたときに準共済金がもらえない場合に受け取るお金です。

必要な納付期限は?

少しでもお金を受け取るためには掛金納付月数が最低12ヶ月必要です。

掛金全額以上を受け取るには?

掛金全額を返してもらうためには、最低20年納付する必要があります。つまり、20年以内に自己都合等で解約してしまうと、確実にお金が減った状態で返金されることになります。増えた状態にするには、20年7ヶ月以上納付しておく必要があります。

解約手当金

まとめ
  • 法人成りしない個人事業主のうち、廃業したら共済金A、65歳になっても事業を続ける場合は共済金Bを受け取る。
  • 法人成りした個人事業主は準共済金(解約手当金になることも)を、自己都合で解約する場合は解約手当金を受け取る。
お金の種類 いつ 掛け捨て 多く受取り
共済金A 廃業・死亡 6ヶ月未満 36ヶ月以上
共済金B 65歳になった 6ヶ月未満 36ヶ月以上
準共済金 法人成り(条件有) 12ヶ月未満18年7ヶ月以上
解約手当金 自己都合解約 12ヶ月未満20年7ヶ月以上

3. お金の受け取り方

サルワカくんの顔(怒)
サルワカくん
ここまで、受け取るお金の種類について解説してきました。ここからは、お金の受け取り方について解説します。

お金を受け取る方法は3種類あります。

  1. 一括受取り(全てのお金で可能)
  2. 分割受取り(共済金A・Bのみ可能)
  3. 一括と分割の併用(共済金A・Bのみ可能)

その1: 一括受取り

一括受取りは、共済金A、共済金B、準共済金、解約手当金、どのお金の場合でも選択可能です。

その名のとおり、一度に掛金を受け取ることになります。一般的な退職金みたいなものです。60歳になるまでに共済事由が生じる(廃業等する)場合は、一括受取りとなります。

その2: 分割受取り

分割受取りは、共済金Aや共済金Bの場合に選択可能です。

請求時点で60歳以上で存命であること、300万円以上掛金があること等、分割受取りを選択するためには条件がいくつかあります。

年6回に分けて、10年または15年にわたって受け取ることができます。10年か15年かは自分で選択できます。つまり、一般的な企業年金みたいなものです。

その3: 一括受取りと分割受取りの併用

受け取る予定の全金額の一部を一括で、残りを分割で受け取る方法です。

この併用方法を選択するための条件は、基本的には分割受取りと同様ですが、掛金が330万円以上ある必要があります。

まとめ
どれを選択できるかは、廃業のタイミングにもよります。どちらがよいかはその時の自分や世間の経済状況に合わせて選択しましょう。

まとめ

小規模企業共済は、納付する期間が一定期間以上になれば掛金以上のお金を受け取れるお得な制度です。

しかし、納付期間が短すぎると掛け捨てになってしまったり、解約の理由によっては掛金以下のお金しか受け取ることができないため、注意が必要です。

受け取るお金の種類

  1. 共済金A:廃業時に受取り。6ヶ月未満で掛け捨て。
  2. 共済金B:15年以上納付。65歳で受取り。6ヶ月未満は掛け捨て。
  3. 準共済金:法人成りした場合(条件あり)。12ヶ月未満で掛け捨て。
  4. 解約手当金:自己都合の解約時に受取り。12ヶ月未満で掛け捨て。20年未満だと減額。

お金の受取り方

  1. 一括受取り:どのお金でもOK。
  2. 分割受取り:共済金A・Bのみ。
  3. 一括・分割併用で受取り:共済金A・Bのみ。

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