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「たまごは白いもの」というイメージがありますが、スーパーには赤い(ほぼ茶色)のたまごも売っています。
赤玉と白玉
白い卵は「白玉」、茶色っぽい卵は「赤玉」と呼ばれたりします。
「なんとなく栄養がありそう」と思って、赤玉のたまごを手に取ったりしていませんか。実はこれ、まったく意味のないことなんです。
1. 卵の色が違う原因
鶏のたまごの色は大きく分けると白・赤(茶)・ピンクがありますが、茶色のたまごでも色が薄かったり濃かったり、いろんな色になっています。
これらの違いが生じる原因は、大きく分けて3つあります。
- 親鶏の種類の違い
- 生活環境の違い
- 親鶏の年齢の違い
その1:親鶏の種類によって卵の色が変わる
親鶏の種類によって、生まれるたまごの色は異なります。親鶏は大きく分けると白い羽の鶏と茶色い羽の鶏がいます。
白い羽の鶏は白い卵を産み、茶色い羽の鶏は茶色い卵を産むのが一般的です(品種改良により、必ずしもそうとは限りません)。
ピンクのたまごは、白い鶏と茶色い鶏を掛け合わせて生まれた鶏から生まれるたまごです。ちょうど間の色、というわけです。
MEMO
茶色い羽の鶏が産むたまごが茶色くなる理由は、茶色の鶏は褐色の色素である「プロトポロフィリン」を分泌するためです。白いたまごを産む鶏はこの色素を分泌しないため、たまごが茶色くなることはありません。
その2:鶏の生活環境によって卵の色が変わる
たまごの殻の色は、鶏の生活環境にも左右されます。とはいえ、白いたまごが茶色っぽくなるという意味での変化ではありません。茶色い赤玉の色の濃さが、生活環境によって左右されるのです。
鶏が産む赤玉の色の濃さは、どれくらい明るい場所で生活しているかに左右されます。これは鶏が動物として生き残るために身につけた能力が関係しています。
明るい場所で生活する時間が多い鶏は、薄い色(明るい色)のたまごを産み、暗い場所で生活する時間が多い鶏は、濃い色(暗い色)のたまごを産みます。
目立たせず、外敵にたまごが見つかりにくいよう、生活する環境に合わせてたまごの色を変えているのです。
MEMO
暗い中に白っぽいたまごがあったら、目立ってしまい見つかりやすいですよね。逆もまた然り。ということで、この習性を利用して、生活環境の明るさを調節すれば、たまごの殻の色の濃さをコントロールできるのです。ただし、個体差はどうしてもあるので、色の濃さを完全に均一にするのは難しいようです。
おまけ:ウィンドウレス鶏舎とは?
ウィンドウレス鶏舎とは、その名のとおり窓のない鶏舎のことです。窓がなく日光が差し込まないため、明るさを完全にコントロールして鶏を育てることができ、濃い色のたまごを効率的に生産することができます。日射だけでなく、室温管理などもコンピュータで完全にコントロールしており、安全に安定してたまごを大量生産することが可能です。
その3:鶏の年齢によって卵の色が変わる
たまごから孵化 して5ヶ月ほどで、鶏はたまごを産むようになります。このとき、若い鶏が産むたまごの方が光沢があり、ツヤが出ます。
歳をとってきた鶏の産む赤玉の場合は、個体差や育つ環境にもよりますが、色が薄くなる傾向がみられるようです。
- 白いたまごか、茶色のたまごか、ピンクのたまごかは親鶏の種類によって変わる。
- 赤玉の場合、色の濃さの差は鶏の生活環境(日射)が大きく関係する。
- 鶏の年齢も関係し、若い鶏の方がたまごの殻にツヤが出る。
2. 赤玉と白玉の栄養価の違い
白玉と赤玉、なんとなく見た目的には赤玉の方が栄養価が高そうなかんじがありますよね。実は、白玉も赤玉も栄養価はまったく変わらないのです。
どちらもひよこが孵るだけの栄養があります。また、赤玉についても、濃い赤玉と薄い赤玉での栄養の差はありません。
同じ栄養価なのに赤玉が高価なのはなぜ?
スーパーでは赤玉の方が値段が高いことがあります。これは、「栄養価が高いから」ではなく、「赤玉を産む茶色の鶏がエサをよく食べるため、生産コストがかかるから」というのが原因のひとつです。
他にも、「茶色い鶏はそもそも食肉用であったためたまごをよく産むような品種改良が進んでおらず、安定的に大量にたまごを生産しにくい」という原因がある場合もあります。
ただし最近では品種改良が進み、あまりこれらの傾向は顕著には見られなくなってきているようです。栄養価が高いから値段も高い、というのはよくある勘違いです。
高価な特殊卵に赤玉が多いのはなぜ?
親鶏に与えるエサにこだわることでたまごの栄養価を高くしたり、エサの原料にこだわったりして生産されたちょっと高価なたまごを「特殊卵」といいます。ビタミンEが豊富、などパッケージに書いてあるのを見たことがあるのではないでしょうか。
そういった特殊卵は赤玉であることが多いです。
これは実はとても単純な話で、「赤玉の方が高級そうに、おいしそうに見えるから」というのが理由です。人間は赤みのある、色の濃いものを「おいしそう」「栄養がありそう」と感じる傾向があります。味の印象は見た目で8割ほど決まると言われていますので、消費者に選んでもらうためにはたまごの色はとても重要であるといえます。ですが、実際には白玉でも特殊卵は作れますし(実際白い特殊卵もたくさん販売されています)、そもそも白玉も赤玉も同じ条件で生産されれば栄養価は同じになります。
3. まとめ
赤玉の値段が高いのは栄養価が高いからではない、というのがお分かりいただけたでしょうか。
白玉も赤玉も通常のたまごなら、何色であっても栄養価は変わらないので、安い白玉の方がお得です。また、栄養価が高いたまごにこだわりたいという場合は、色には惑わされずにパッケージを確認し、栄養価が高くなるように生産された特殊卵を選ぶのが正解です。お買い物のとき、たまごの殻の色に惑わされないようにしましょう。
- たまごの殻の色は「親鶏の種類」「親鶏の育つ環境」「親鶏の年齢」によって異なる。
- 白いたまごも、赤い(茶色い)たまごも、その色の濃さにかかわらず栄養価は変わらない。
- 特殊卵は白玉でも作れる。