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雨上がりの水たまりや池などで見かけるアメンボ。彼らが水の上を移動できるのは「表面張力を利用しているおかげ」というのはご存知かもしれませんが、ではなぜ表面張力を利用できるのでしょうか。
浮くだけではない、アメンボの脚の秘密を解説します。
アメンボの脚の機能
アメンボの脚の機能は、「水面を移動する」だけではありません。そのほかに、「水面の獲物や敵を見つける」「仲間とコミュニケーションをとる」といった機能もあります。順に解説します。
アメンボが水に浮く理由
例えばハエは水面に浮きますが、アメンボのようにスイスイ移動はできませんよね。アメンボが水面を移動できる理由は、「表面張力を利用しているから」というのは、どこかで聞いたのではないでしょうか。
ではハエと違ってなぜ表面張力を利用できるのか、理由は大きく分けて3つあります。
理由1:体がとても軽い
アメンボは見てわかるとおり、とても華奢な体つきをしています。その体重はなんと、10匹集めても1gに満たないほど軽いのです。この軽さが、スイスイ移動するために一役買っています。
理由2:脚先が濡れない構造になっている
「水に濡れる」とは?
水に濡れる、というのは水に捕まることです。水に浮いているハエの表面は濡れており、つまり水に捕まっています。そのためスイスイ移動ができません。
アメンボの脚先は水に捕まらない構造
アメンボの脚先は、油がついている剛毛がびっしり生えています。まずこの油が水を弾きます。
さらに、剛毛同士の間に空気が入り込んで空気の層のようなものができます。左図は脚が水面に触れているときの断面です。毛と毛の間に空気が入り込み、水が空気に邪魔されて、脚表面に触れることがありません。つまり、空気の層が水を弾いているのです。よって、水に捕まる=濡れることがありません。
理由3:滑らないように脚先に爪がある
水面は表面張力によって膜のようになっています。アメンボの脚先には爪のようなものがあり、この爪が水面の膜に食い込んで、滑らないようになっているのです。爪を食い込ませることができるのは、「理由2」のとおり水に濡れない脚先の剛毛のおかげです。
そのため、水面を移動するときにつるつる滑ることなく、しっかりと蹴ることができるのです。
- 体が軽く、脚先が濡れない構造になっているため水に沈まない。
- 脚先の爪を水面に食い込ませて、しっかりと水面を蹴ることができる。
アメンボの脚は優秀なセンサー
移動するだけでなく、アメンボの脚は水面の波を感じ取って、敏感に反応します。
水面に落ちたのがエサかどうか判別できる
アメンボがいる水面に落ちるのは、エサとなる小さな昆虫だけではありません。落ち葉だったり、敵のカエルだったり、もしかすると風が立てた波かもしれません。 アメンボはこれらの波の違いを感じ取り、波が立つ=近くにいるのはエサの昆虫なのか、敵なのか、それともただの落ち葉なのかどうか判断できるのです。
大きさなども察知する
アメンボの脚は波をキャッチしたときに、波の曲がり具合や、波の方向の違いによる高さなどを分析し、落ちたものがどれくらいのサイズなのかも知ることができます。
障害物の感知もできる
アメンボは波を自ら発することもできます。波を立ててその反響を感じ取ることによって、障害物のありかを察知し、衝突事故を起こさないようにスイスイと泳ぐのです。
- アメンボは脚先のセンサーで水面の波を感じ取り、水面に落ちたのが何なのかを察知できる。
- 自ら波を立てて、その反響で障害物の位置を把握できる。
仲間とのコミュニケーションをとる
アメンボは自らも波を立てます。その波の立て方で、仲間とコミュニケーションをとるのです。
求愛・配偶行動
アメンボのオスがまずは波をたて、メスにラブコールします。メスは波をうけ、そのオスを受け入れようと決めると波を返します。 その後、交尾をして産卵するのですが、種類によってはオスは交尾をしたらしっぱなしではなく、メスを産卵場所に誘導したり、産卵用の小枝をプレゼントしたりします。なかなかできるオトコです。
縄張りの主張
適度な間隔を保って生活するために、波を立てて自分の縄張りをアピールします。その縄張り内に他のアメンボが侵入してくると、追い払うこともあります。
ちなみに、アメンボの喧嘩の仕方ですが、縄張りアピールしたり侵入者を察知したりと波を使っているので、ざぶざぶと波起こし対決・・・するかと思いきや、普通に体をぶつけ合って勝負します。拳銃を捨てて拳で殴り合うアクション映画のクライマックスのようですね。
- 波で求愛・配偶行動や縄張り主張も行い、仲間とのコミュニケーションに利用する。
まとめ
- 水面をスイスイ移動する。
- 波を分析して、水面の落下物を判別する。
- 波を立てて反響させ、障害物を察知する。
- 波を立てて、仲間とのコミュニケーションをとる。