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世の中にはおもしろい生態の生き物がいます。今回ご紹介するのは「カクレウオ」です。
カクレウオは「肛門魚」と呼ばれる魚?!
カクレウオという名前のとおり、この魚はとある場所に隠れて過ごします。さて、どこに隠れるのかというと・・・実はこの魚、「肛門魚」なんて呼ばれ方もあります。もうお分かりですね。
そう、カクレウオはヒトデやナマコの肛門や口から入り込んで、体内に住みつく魚なのです。
ヒトデやナマコからしたら、たまったもんじゃないですね。
カクレウオってどんな魚?
カクレウオは細長い円筒形の魚で、体長20cmほどです。大きい個体だと、40cmにもなるんだとか。
肛門魚や腸内魚なんて散々な名前がついていますが、アメリカでは「真珠魚」と呼ばれているそうです。
なんで体内に住みつくの?
はっきりとした理由はまだ解明されていませんが、いくつか考えられている理由はあります。
避難場所にしている
カクレウオは20cmとはいえかなり細身の魚なので、体型的には捕食されやすいです。そこでヒトデやナマコの体内に逃げ込み、難を逃れているというわけです。
エサを求めている
ヒトデやナマコの腸内には、彼らが食べたものの残存物があります。カクレウオは海の中で小さな甲殻類を食べつつ、食べるものがなければヒトデやナマコの腸内の残存物を食べます。
愛の巣にしている
1匹のヒトデやナマコの体内に、1匹のカクレウオとは限りません。複数匹同時に入っていることもあります。となると、真っ暗な腸内で、配偶行動(出会いから交尾までのすべての生殖行動)を行っている可能性もある・・・というわけです。
どうやって体内に入るの?
カクレウオはヒトデやナマコの口元や肛門近くに来ると、体を旋回して尻尾を入り口へと向けます。そしてそのまま、尻尾の方からするするっと入り込むのです。ですが、頭から普通に飛び込む個体もいて、一概にどちらとはいえないようです。
入られるナマコのリアクション
海外の動画(youtube)を見てみましたが、入られるナマコは非常に冷静でした。平気なんでしょうか。50秒あたりからカクレウオが登場し、その数秒後、インします。
カクレウオは「寄生」しているの?
カクレウオの仲間の中には、ヒトデやナマコの腸を内側から食べてしまうものもいるとされています。この場合、ヒトデたちが一方的に害を被り、カクレウオだけが得をしているので、寄生といえます。しかし、こうした寄生をしている証拠はまだ出てきていないので、「カクレウオはヒトデに寄生している」と断言することはできません。
よって、「片利共生」とされています。カクレウオはヒトデやナマコの体内に住み、腸内の残存物を食べるので得をしますが、ヒトデやナマコはこれといった損はしません。こういった、片方が得をするがもう一方はどちらでもない状態を片利共生といい、カクレウオたちの関係は片利共生に当てはまります。
カクレウオ | ヒトデ・ナマコ | |
---|---|---|
寄生 | 得 | 損 |
片利共生 | 得 | どちらでもない |
ギネスブックに載っている?!
カクレウオがヒトデやナマコの体内に複数入っていることがある、ということは前述しました。実は、この「1体のナマコの中に入っているカクレウオの数」がギネスにのっているらしいのです。
40cmのナマコ(これはこれでデカイ)から、なんと総勢16匹ものカクレウオが出てきたという記録があるようです。全部もちろん生きており、さらにいえば、大きめのカクレウオの中に隠れていた小さいカクレウオもいたそうです。この記録が樹立される前の記録は「5匹」だったので、16匹のすごさが伺えますね。
まとめ
以上、ヒトデやナマコに同情してしまう、カクレウオのびっくりな生態でした。
- カクレウオはヒトデやナマコの体内に入り込む
- 避難場所、エサ場、配偶行動の場として使っているという説がある
- カクレウオは寄生しているのではなく、片利共生という関係性である
- 1体のナマコの中から16匹のカクレウオが出てきたというギネス記録がある