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多すぎて疑わしいモンドセレクション。水道水も受賞してるし、そこらじゅうに金賞受賞!の製品があるし・・・。しかし、正しく理解すれば納得の理由です。
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1.モンドセレクションとは?
1961年にベルギーで設立された機関で、様々な種類の製品を試験・評価し、優秀品質ラベルを授与しています。
品質ラベルは下から「優秀品質銅賞」「優秀品質銀賞」「優秀品質金賞」となり、一番上の賞は「優秀品質最高金賞」となります。
2.なぜ金賞受賞製品が溢れているのか
お店にいくと、「モンドセレクション◯賞受賞!」とパッケージに書かれている製品がそこら中にありますよね。
これはなぜかというと、以下の3点が考えられます。
- 絶対評価のため、受賞製品数に制限がない。
- 応募費用(約14万円)を払えば簡単に応募できる。
- 一度受賞すると3年間有効。
絶対評価のため、受賞製品数に制限がない
評価方法は全製品の中で順位をつける相対評価ではなく、他と比べることなくその製品がどれほど基準を満たしているかの絶対評価なのです(評価方法については後述します)。そのため、基準を満たす製品はすべて受賞するので、良い製品がたくさん応募されればそれだけ受賞製品数も多いのです。
応募費用(約14万円)を払えば簡単に応募できる
応募条件は、まとめると「必要書類とサンプルを提出すること」「応募費用を払うこと」「すでに市場に流通している製品であること」であり、応募のハードルは低いのです。手続きも簡単なので、割と応募しやすいのではないでしょうか。
一度受賞すると3年間有効
一年に一度の審査で、アジアだけで2000点ほどの製品が受賞します。一昨年受賞したものも店頭に並ぶので、これが3年続いたら、、、なかなかの数ですね。
3.「モンドセレクション受賞=おいしい」は間違い?
結論からいうと、「おいしいものもあるし、そこまでおいしいわけではないものもある」というのが正解です。
勘違いの理由は評価方法にあった
理由は評価方法にあります。モンドセレクションの食品部門は、20の評価基準で総合的に評価されます。基準は「おいしさ」だけではないのです。
詳しくは「モンドセレクションの審査方法」で後述しますが、評価されるのは味だけではなく、品質の良さもあるのです。
よって、モンドセレクション受賞の食品は必ずしも激ウマ!!というわけではないのです。しかし、品質の良さで言えば、受賞したとおりのものである、ということになります。
こう考えると、某都市の水道水が受賞するのも納得ですね。
4.モンドセレクションの実態:約90%が受賞
さて、では、いったいどれくらいの製品が出品され、その中のどれほどが受賞したのでしょうか。
出品製品数と受賞製品数
2016年は、2938点の製品が出品されました。各賞と受賞製品数は、以下のとおりです。
受賞名 | 受賞製品数 |
---|---|
最高金賞 | 425 |
金賞 | 1261 |
銀賞 | 777 |
銅賞 | 155 |
合計 | 2618 |
グラフで示すと以下のようになります。
つまり、約89%の製品がなんらかの賞を受賞した、ということなのです。しかも金賞が多いのです。
地域別の受賞製品数
モンドセレクションの受賞は、ほとんどが日本製品である、という噂。本当でしょうか。
大陸別に受賞製品数をみてみると、以下のようになります。
大陸 | 国の数(企業数) | 受賞製品数 |
---|---|---|
アフリカ | 13(24) | 69 |
アジア | 18(792) | 2117 |
ヨーロッパ | 29(119) | 267 |
北アメリカ | 3(8) | 70 |
中央アメリカ | 7(7) | 22 |
南アメリカ | 6(15) | 51 |
オセアニア | 6(10) | 22 |
グラフで割合を表すと、以下のようになります。
日本製品がほとんどって本当?
受賞製品数、企業数は、上のグラフの黄緑色の割合のとおりアジアが圧倒的に多くなっており、約8割を占めます。国別の資料が見つかりませんでしたが、個別に受賞製品の国名を見てみると、「JAPAN」の羅列状態です。
「ほとんどが日本製品」というのは、本当のようです。
5.審査方法は?
やたらと受賞製品の多いモンドセレクション、どのような審査方法がとられているのでしょうか。
誰が審査しているの?
カテゴリーの分野に精通した70名以上の国際的に著名な専門家たちが審査を行います。具体的には、ミシュラン星獲得シェフ、大学教授、醸造学者・技術者、栄養学者などです。
化学的な分析が必要となれば、認定試験機関や独立した機関からのサポートも受けます。
どのように審査しているの?
カテゴリーごと(食品、酒、ダイエット&ヘルス等)に分かれています。最小8名の審査委員+審査委員長の構成で、4ヶ月かけて審査します。膨大な製品数なので、1日20製品の評価が行われます。
受賞製品の決め方は?
まず第一に、モンドセレクションは「絶対評価」であることを忘れてはいけません。
全製品で比べ合って賞を決める(相対評価)のではなく、製品ごとに審査し、複数の評価基準に沿って点数をつけ、審査員の出した点数を平均した点数で、受賞が決まります。
100点満点で90点以上が最高金賞、80〜89点が金賞、といった具合です。よって、点数さえ満たせば製品数に制限なく受賞できるため、2000を超える製品がモンドセレクションを受賞しているのです。
モンドセレクションの評価基準
「食品」「スピリッツ&リキュール」など飲食物のほか、「化粧品&トイレタリー製品」といったカテゴリーもあります。よって、評価基準はカテゴリーごとに異なります。
例えば食品の場合
20もの評価基準があります。味や香り、食感などの感覚的性質だけでなく、成分やパッケージ情報の正しさ、調理のしやすさ、使用説明等も評価対象となっています。
つまり、単なるブラインドテイスティングではなく、製品の品質に対する全体的な分析・評価となるのです。
また、食品の評価方法については以下の特徴があります。
- 製品固有の性質や特色に対して正しく評価を行うために、味見前に産地や成分、製造方法などが書かれたテクニカルシートが配布される。
- 専門家たちが各自の経験や知識を共有するための時間が設けられる。
- 品質特性に疑問が生じた場合、公的試験機関に科学分析を依頼する。
- 審査員は長年の経験を積み、5大陸の料理文化に精通している。
- 定期的に海外で試食会を行い、審査員たちが常に最新情報を取り入れられるようにしている。
このように、公平性を期するために、さまざまな工夫がなされています。
- 審査員は国際的に著名な専門家。
- 4ヶ月かけて、複数の審査員で絶対評価による採点が行われ、平均点で受賞製品が決まる。
- 公平性を期するため、さまざまな工夫がなされている。
6.モンドセレクションへの応募は簡単?
応募条件
モンドセレクションの応募条件は、例えば食品ならとてもシンプルです。要約すると、
- 必要書類とサンプルを提出すること。
- 市場にすでに流通していること。
となります。そのほか売り上げや知名度などについては、特に条件はありません。ハードルが低いですね。
応募費用
応募費用は1点につき1150ユーロで、日本円だと約14万円です(2017.4.6時点)。ちなみに3点目以降は100ユーロ安くなります。
これに加え、サンプルの送料も出品者負担となります。ベルギーまで送るので、結構高くつきそうです。関税なども出品者負担です。
応募方法
とても簡単です。
- 様式を公式HPからPDFでダウンロードする。
- 書類を記入してメールで送る。
- 応募費用を銀行振込等で支払い、サンプルを送る。
これだけです。ただ、唯一の難点は、書類を英語で書かなければならないことでしょうか。
様式や説明は日本語なのですが、記入するときは「英訳にてお願いします」とあります。使用説明や特殊性/特異性について書く欄もあるので、少々英訳が難しい部分もあるかもしれません。
が、いまは英訳サービス(有料・無料)もありますので、この問題は案外簡単にクリアできるかもしれませんね。
- 応募条件のハードルが低いので、費用さえ払えれば応募は簡単。
- 書類を英語で書かなければならないが、苦手なら英訳サービスを利用すればよい。
以上から、モンドセレクションは、品質の良さの判断基準として使えそうですね。
なんとなく「おいしさ(だけ)で選ばれている」と思っていた方も多いのではないでしょうか。
以上、知ってるとちょっとドヤ顔できる情報でした。