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スーパーに並ぶたまごって、「Mサイズ」やら「Lサイズ」やら、サイズが書いてありますよね。ちょっと前にツイッターで回ってきた画像で、「たまごのサイズの違いは白身の量で、黄身の大きさは変わらない」というのがありました。
本当にそうなのでしょうか。どーーーも自分で割ったかんじ、黄身のサイズも違う気が。。。ということで、たまごのサイズの違いについて、本当のところどうなのか、解説します。
結論からいうと、たまごのサイズが大きくなると、白身の量は増えますし、黄身のサイズは大きくなります。ただし、以下の点に注意が必要であり、これらが「黄身のサイズは変わらない」という原因だと思います。
- 白身の増加量に比べて、黄身の増加量は少ない。
- 大きめのMサイズ(63g)と小さめのLサイズ(65g)では、大きめのMサイズのほうが黄身が大きいこともある。
- たまごの構成成分(白身・黄身・殻)の割合はたまごのサイズによって異なるが、同じサイズのたまごでも異なることがある。
これらのせいで、「黄身のサイズは変わらない」なんていう勘違いが生じてしまったわけです。実際自分で割ってみても、「Lのほうが黄身大きいよなあ」と思った方もいらっしゃるかと思いますが、正しいです。また、養鶏関係の研究をしている友人も、「黄身は大きくなるよ!」と断言していました。
以上、簡単に結論と勘違いの原因をざっくりと述べました。ここから、詳しく解説しています。
1.たまごのサイズは6段階
スーパーでよく見かけるたまごのサイズはMやLでしょうか。「いろいろたまご」なんていう、サイズがまちまちで安めのたまごもありますね。しかし本当は、たまごのサイズは6段階あるのです。
サイズはたまごの重量を元に決められていて、下表のような決まりになっています。
1-1.たまごのサイズと重量
卵のサイズ | 卵の重量 |
---|---|
SS | 40g以上46g未満 |
S | 46g以上52g未満 |
MS | 52g以上58g未満 |
M | 58g以上64未満 |
L | 64g以上70g未満 |
LL | 70g以上76g未満 |
たまごのサイズの差は親鶏の月齢によって生じますが(詳しく後述します)、SSサイズとSサイズについてはそのサイズを産む月齢期間が短く、季節の影響も受けるため、安定供給はできません。そのため、スーパーに並ぶたまごはMサイズ以上が主流となっています。
2.なぜサイズの違うたまごがうまれるのか
たまごのサイズは、たまごを産む鶏の月齢(その鶏が生まれてから何ヶ月か)によって変化していきます。若い鶏が産むたまごは小さく、成長した鶏が産むたまごは大きくなります。これはなぜかというと、鶏の成長に伴い卵管が発達するためです。
たまごが形成されるおおまかな過程は、卵胞から卵子(黄身)が排卵される→卵子(黄身)が卵管を通りながら、白身をまとっていく→子宮部で一番外側に殻が作られる→たまご完成、となります。卵管が発達すると、白身の分泌が増えるため、完成するたまごの重量は大きくなる、というわけです。
なお、月齢と産まれるたまごのサイズは下表のとおりです。
卵のサイズ | 鶏の月齢 |
---|---|
SSとS | 4ヶ月〜5ヶ月半 |
MS | 5ヶ月〜8ヶ月 |
M | 6ヶ月〜12ヶ月 |
L | 10ヶ月〜24ヶ月 |
LL | 18ヶ月以上の一部の鶏 |
3.たまごのサイズと白身・黄身の量の関係
ではここで、たまごのサイズと、白身の量・黄身のサイズがどのようになっているのか解説します。
3-1.たまごのサイズと白身の量
大雑把に言うと、たまごが大きいほど白身の量は多くなります。これは先ほど述べたように、成長した鶏の卵管は発達しており、白身を多く分泌して大きなたまごが作られるためです。
3-2.たまごのサイズと黄身のサイズ
感覚的には、「たまごのサイズが大きければ黄身のサイズも大きい」ような気がします。しかしテレビ番組で「黄身のサイズはどのたまごでも同じ」などど放送されています。どちらが正しいのでしょうか。
「黄身のサイズはたまごのサイズによって変わる」かといえば、実は「YES」です。しかし、実際には「ほとんど変わらない」ともいえます。つまり、変わることは変わるのだけど、そこまで大きな変化ではないし、必ずしもたまごのサイズが大きければ黄身が大きいわけではないのです。
ただし、Sサイズ・SSサイズのたまごとMサイズ以上のたまごを比べると、Mサイズの方が黄身が明らかに大きいことが多いです。厄介なのが、Mサイズ以上。MサイズとLサイズを比べると、たしかに白身は多いのですが、黄身の大きさがほとんど変わらなくなってきます。しかし実は、Lサイズのたまごのほうが、Mサイズのたまごより黄身がすこしだけ大きいことが「多い」のです。これは、実はたまごの構成成分の割合が関係しています。
- たまごが大きいほど、白身の量は多い。
- たまごが大きいほど、黄身のサイズが大きい可能性が高い。
4.たまごのサイズと構成成分の割合の関係
たまごは大まかに、「白身」「黄身」「殻」でできています。大雑把には、白身6割、黄身3割、殻1割です。しかし実は、この割合はたまごのサイズが変わると変化するのです(白身57.0〜63.4%、黄身28.6〜30.6%、殻8.1〜12.4%)。
4-1.黄身・白身・殻の比率の違い
黄身の比率
黄身の比率が一番大きくなるのは、Mサイズのときです。ついで比率が大きいのはLサイズ。S・SS・LLサイズでは、黄身の比率は小さくなります。
白身の比率
これは、LLサイズが一番大きくなります。たまごが大きれれば比率は大きく、たまごが小さければ比率は小さくなります。
殻の比率
SSサイズで最も比率が大きくなります。たまごが大きくなるにつれて殻の比率は小さくなり、LLサイズのたまごでは殻は薄く、割れやすくなっています。
- 白身・黄身・殻の割合はたまごのサイズによって変化する。
- たまごのサイズが大きいと、白身の割合が高い。
- 黄身の割合が一番高いのは、Mサイズ。次にLサイズ。
5.サイズが大きいと、黄身が大きいことが「多い」?
では、なぜはっきりと「たまごのサイズが大きいほうが黄身が大きい!」と断言しにくいのでしょうか。
5-1.たまごのサイズを定義する重量に幅がある
たまごの重量には、同じサイズでも6gもの幅があります。(例:Mサイズは58g〜64g)
例えば、Mサイズの63gのたまごと、Lサイズの65gのたまごを比べるとしましょう。Mサイズのたまごは構成割合が「白身60%、黄身30%、殻10%」で、Lサイズのたまごは「白身63%、黄身28%、殻9%」であるとします。このとき、63gのMサイズのたまごの黄身は18.9gなのに対し、65gのLサイズの黄身は18.2gとなります。おやおや、重量が大きいはずのLサイズのほうが、黄身が小さくなってしまいましたね。Mサイズの方が黄身の構成割合が高いため、大きめのMサイズの方が、小さめのLサイズよりも黄身が大きい場合がある、ということです。
5-2.同じ重量でも構成割合に小さな差がある
たまごの中身の構成割合は、たまごのサイズごとに大まかに決まっていますが、生き物なのである程度の幅はあります。
たとえば、同じLサイズのたまごであるAとBを比べるとしましょう。たまごAは「たまご重量65g、構成割合が白身62%、黄身28%、殻10%」とし、たまごBは「たまご重量67g、構成割合が白身63%、黄身27%、殻10%」としましょう。計算すると、たまごAの黄身は18.2g、たまごBの黄身は18.09gとなります。重量が大きいたまごBのほうが、黄身が少なくなってしまいました。
このように、重量が大きくても、たまごの構成割合に差があるために黄身が(ほんの少し)小さくなることもあります。これが、「たまごが大きければ黄身は大きい」とイマイチ断言できない原因のひとつです。
5-3.白身の増加量に比べて、黄身の増加量が小さい
たまごのサイズが大きくなると、白身の量はぐんぐん増えるのですが、黄身のサイズは少ししか大きくなりません。よって、「黄身は大きくならない」という勘違いをしやすくなります。
以上3つが、「たまごの黄身の大きさは同じ」という勘違いの原因かと思われます。
結論
たまごのサイズが大きいほど黄身が大きいとは限らない、という解説をしましたが、いろんな条件を揃えて黄身の大きさを比較すると、やはりたまごが大きくなるにしたがって、黄身は大きくなります。したがって、結論としては 「MサイズもLサイズも黄身の大きさは同じというのは間違い」です。
ただ、LサイズとLLサイズを比較した場合については、白身の量の差のほうがはるかに顕著になり、黄身はほとんど同じサイズであるようです。
- たまごが大きくなるとき、顕著に増えるのは白身の量。
- たまごサイズが大きくなると、黄身も大きくなる。(特にSSサイズ〜Lサイズ)
- サイズの定義に6gの幅があり、同じ重量のたまごでも構成成分の割合に多少の差があることがあるので、必ずしも重量が大きい=黄身が大きいとは限らない。
- 基本的には重量が重くなるにつれて、黄身も大きくなると思ってOK。ただし 黄身のサイズの差は少ししか生じない。
上記を踏まえたうえで、料理をするときのたまごの選び方のポイントとなるのは、「たまごの白身と黄身のバランス」です。白身をたくさん使う料理ならLサイズやLLサイズを使用し、黄身をメインで使う料理なら、安めのMサイズのたまごでも十分でしょう。たまごの特性を理解し、適切な選択ができるとよいですね。