善玉・悪玉コレステロールとは?悪玉も少なすぎると害になる?!

善玉・悪玉コレステロールとは?

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歳をとってくると気になる「健康」。よく、「高コレステロールが〜」とか「悪玉コレステロールが〜」みたいな話が出ますが、コレステロールは低ければいいというものではありませんし、実は悪玉コレステロールだって一定量は必要なんです。そのあたりをきちんと理解すると、思いがけない勘違いに気付くことができます。このページでは悪玉コレステロールと善玉コレステロールの違いなどについて、解説します。読み終わるまでに最低1回は「え、知らんかった!」となること間違いなしです。

1.そもそもコレステロールとは?

なんだか悪者にされているコレステロールですが、実際には健康な体づくりと生命維持には欠かせない、とても大事な成分なのです。

1-1.コレステロールのはたらき

細胞膜の構成成分になる

人間の体は60兆個もの細胞からできています。コレステロールはこの細胞を構成する「細胞膜」の材料であり、非常に重量な脂質の一種です。

ホルモンの材料になる

体の機能を調節し、心身の健康を保つために重量なホルモンの材料になります。たとえば副腎皮質ホルモンや、男性ホルモン、女性ホルモンが挙げられます。(余談ですが、ディズニーの「美女と野獣」に出てくるゴリマッチョのガストンは、コレステロールを豊富に含むたまごを毎日5ダース食べているようです。歌の歌詞にあります。どうりで男性ホルモンが溢れているわけですね)

胆汁酸の材料になる

脂肪の消化吸収を助けるはたらきをもつ「胆汁酸」は、肝臓で作られます。このとき、材料になるのがコレステロールです。

このように、コレステロールは生命維持に重要な役割を果たしており、必要不可欠であることがわかります。

1-2.高コレステロールな食品を摂取してもあまり影響はない?

コレステロールの生産割合

コレステロールは生命維持に必要なものなので、体内の肝臓で毎日生産されています。1日に必要な量の70〜80%が肝臓で生産され、残りの20〜30%を食品から摂取しています。

食品からコレステロールを多量に摂取しすぎた場合は、体内での生産量が減らされ、全体としてのコレステロール量が調節されるのです。もともと肝臓で生産される量の方が圧倒的に多いので、肝臓での生産量を減らせば十分調節することができます。注意したいのは、肝機能が低下している人。肝臓が弱っている、あるいは肝臓が他の仕事で忙しすぎる場合(肝臓にはコレステロール生産・調節以外にもいろいろな機能があります)、この調節機能がうまく働かず、コレステロール過多となってしまいます。健康な人なら肝臓で十分に調節されるので、食べ物のせいで健康に支障をきたすことは滅多にありません

コレステロール量の調節

ただ、コレステロールが高い食品はカロリーが高いものが多いです。そういった食品の摂取過多は、「コレステロールをとりすぎたから」ではなく「カロリーをとりすぎた→太る→健康を害する」という流れになりがちです。そのため、コレステロールの多寡にかかわらず、食べ過ぎ自体があまりよろしくないのです。

重要
  • コレステロールは生命維持に必要不可欠なものである。(決して悪者ではない!)
  • 1日に必要なコレステロールのうち、7割〜8割は肝臓で生産される。
  • 食品からコレステロールを摂取しすぎても、肝臓の調節機能により、体内の総量は適切になる。

2.悪玉コレステロール、善玉コレステロールとは何か?

ここで、よく耳にする「悪玉コレステロール」「善玉コレステロール」について解説します。

悪玉コレステロールと善玉コレステロール

まず、勘違いされがちなのですが、コレステロールに「悪玉」「善玉」という種類があるのではありません。コレステロールは全て同じです。コレステロールは血液にのって必要な体の各所に運ばれますが、コレステロールは血液に溶けにくいので、リボたんぱくという成分に結合する必要があります。例えるなら、リボたんぱくはコレステロール(船員)を乗せる船です。

このリボたんぱくは2種類あり、分子量(サイズ)が小さいものが「LDL(悪玉)」、分子量の大きいものが「HDL(善玉)」と呼ばれます。これらリボたんぱく(船)にコレステロールが乗っかって、「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」となり、血液中を運ばれるというわけです。

2-1.悪玉コレステロールとは何か?

悪玉コレステロール(LDLコレステロール)は、体の各所にコレステロールを運ぶ役割をもっています。「1.そもそもコレステロールとは?」でお話したとおり、コレステロールは生命維持に必要なものなので、このはたらき自体はとても重要です。

ただ、LDL(悪玉)が多く、コレステロールも多い状態になる=悪玉コレステロールが増えると、コレステロールが運ばれすぎてしまい、余った分が血管の壁に潜り込み、動脈硬化等を引き起こす原因となります。普段はおとなしく役に立ってくれているのですが、増えすぎると病気の原因になるため、「”悪”玉コレステロール」などど名付けられました。普段はいい子ですので、この「悪玉」という名前がいろいろな誤解を招く原因かと思われます。

超悪玉コレステロールとは?

超悪玉コレステロールは、悪玉コレステロールの一種です。悪玉コレステロールは善玉コレステロールよりもサイズが小さい(低分子)ですが、さらにサイズが小さいものがあり、この小型悪玉コレステロールを「超悪玉コレステロール」といいます。超悪玉コレステロールは、サイズが小さいために血管の壁にもぐりこみやすく、動脈硬化の直接的な原因になる場合があります。結果として、超悪玉コレステロールが多い人は、心筋梗塞になりやすくなります。

2-2.善玉コレステロールとは何か?

善玉コレステロール(HDLコレステロール)は、余って血管の壁に張り付いたコレステロールを回収し、動脈硬化を防ぐはたらきがあります。善玉コレステロールが少ないと、余ったコレステロールを回収できず、血液がどろどろになり、動脈硬化になる可能性が高くなってしまいます。

重要
  • コレステロール(船員)はみんな同じで、リボたんぱく(乗る船)の種類が異なるため「善玉コレステロール」「悪玉コレステロール」に分類される。
  • 悪玉コレステロールは体内各所にコレステロールを届ける役割があり、適切な量なら全く「悪」ではない。
  • 悪玉コレステロールは多いと危険、善玉コレステロールは少ないと危険。
  • 善玉コレステロールは血管壁に張り付いた余ったコレステロールを回収する役割がある。

3.コレステロール値の基準

悪玉コレステロール、善玉コレステロール、それぞれに役割があり、どちらも必要不可欠なものです。しかしもちろん、多すぎても健康に害が生じます。ではどれくらいのコレステロールがある状態が適切なのでしょうか。

3-1.体内のコレステロール値の基準

昔は「総コレステロール量」といって、善玉・悪玉を区別せずに合計して、「とりあえずコレステロールがこんだけあるとまずい」という基準が示されていました。しかし現在では、悪玉コレステロール、善玉コレステロールを区別した基準が設けられています。

コレステロール 脂質異常症の基準値
悪玉コレステロール 140mg/dl 以上
善玉コレステロール 40mg/dl 以下

悪玉コレステロールは多すぎると悪影響をきたすので、血液中で140mg/dl以上になると「脂質異常症」とされます。脂質異常症とは、簡単に言うと血液がどろどろの状態で、動脈硬化や心筋梗塞のリスクが高い状態のことです。逆に、善玉コレステロールは少なすぎると余分なコレステロールを回収できずに悪影響が生じるので、40mg/dl以下が脂質異常症となります。

3-2.LH比とは何か?

LH比とは、簡単にいうと悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)のバランスです。

脂質異常症は総コレステロール(善玉・悪玉コレステロールの合計)の値ではなく、善玉コレステロールと悪玉コレステロールのそれぞれの値から総合的に判断されます。というのも、悪玉コレステロールが基準内で善玉コレステロールが多い状態(本来好ましい状態)の場合、総コレステロールの値は高くなり、一見不健康にみえてしまいます。また、悪玉コレステロールが低すぎる場合でも、生命維持に重要なコレステロールを体中に運ぶ運び手が少ないわけですから、総コレステロールは低いですが健康的とは言えません。つまり、総コレステロールが高い・低いは判断基準としては曖昧なのです。

そこで指標のひとつとされるのが、「悪玉(LDL)コレステロール/善玉(HDL)コレステロール」で求められるLH比です。例えば、悪玉コレステロールが130mg/dl、善玉コレステロールが50mg/dlの場合、LH比は2.6となります。

LH比が2.5以上だと動脈硬化などのリスクが高まります。また、他の病気(高血圧など)や喫煙も動脈硬化のリスクを高めますので、他の病気がない場合は2.0以下、他の病気があるなどの場合は、1.5以下になるとよいとされています。実際に、悪玉(LDL)コレステロール値が基準内でも善玉(HDL)コレステロールが少ないと、心筋梗塞のリスクが高まることが報告されています。よって、総コレステロールの値ではなく、善玉・悪玉そコレステロールとそのバランスをみることが重要といえます。

4.まとめ

以上、善玉コレステロール、悪玉コレステロールについて解説しました。悪玉コレステロールがただの悪者ではなく、ある程度の量は必要なものである、ということがお分かりいただけたでしょうか。

ただ、「悪玉コレステロールが基準値以上に高い」あるいは「善玉コレステロールが基準値より低い」と健康に支障をきたすのは事実です。また別の記事で、コレステロール値を基準値内にするためにはどうすればよいのかを解説しようと思います。

まとめ
  • コレステロールは生命維持に必要不可欠なもの。
  • 悪玉コレステロール、善玉コレステロールにはそれぞれ役割があり、どちらも一定量が必要。
  • 悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比である「LH比」を参考に、基準量だけでなくバランスを保つのも重要。
  • 悪玉コレステロールはただの悪者ではない!!
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