マーケティングとは?事例と方法を分かりやすく図解

マーケティングとは

マーケティングとは結局のところ何なのでしょうか。「何となくイメージは浮かぶけど、言葉にしようとすると、あいまいな表現になってしまう」という方も多いのではないかと思います。
今回はマーケティングの意味と、最も理想的な手法を図を用いながら分かりやすく解説します。

マーケティングとは?簡単に言うと?

マーケティングの意味

前提:定義がハッキリと決まっているわけではない

まず、理解しておきたいのはマーケティングに対する明確な定義は決まっていないということです。人によって言うことが全然違うのです。

簡単な意味

それを理解したうえで最も端的にマーケティングの意味を説明しているのは「大辞林(辞書)」だと思います。

消費者の求めている商品・サービスを調査し,供給する商品や販売活動の方法などを決定することで,生産者から消費者への流通を円滑にする活動。


大辞林

理解しづらいかと思うので、噛み砕いて箇条書きにしてみましょう。

つまり…

  1. 消費者がどんな商品やサービスを求めているのかを調査
  2. どのように商品を届けるのかを決める
  3. どのように販売を行うのかを決める

この①〜③により「多くの消費者に、効率的に商品が行き届くようにすること」=マーケティングなのです。

具体的に何がマーケティングなの?

例えば何がマーケティング

では具体的に何をすることがマーケティングにあたるのでしょうか。いくつかの例を紹介します。

その1:市場分析

戦略を立てる

まず「どの市場にチャンスがあるのか」を見極めることはマーケティングの大事なポイントです。市場予測をしながら、どの分野で事業を行うのかを検討します。

その2:ターゲットユーザーの設定

ユーザーが誰なのかを考える

「誰に商品やサービスを提供するか」というターゲットユーザーを設定するのも、マーケティング活動の一環です。

その3:商品・サービスの設計

どんな商品を作るか

そして「どんなものがターゲットユーザーに受け入れられるのか」を検討します。具体的には商品のウリやコンセプトを考えます。他社とどう差別化するかという点も重要です。

その4:価格帯を決める

価格を決める

また、ユーザーに受け入れられ、かつ採算が取れる価格帯を探ります。基本的には、競合(ライバル)の価格設定を考慮し、データやヒアリングなどを通して決めていきます。

その5:届け方を決める

届け方を考える

ユーザーに対して「どのように商品を届けるか」や「どのような形でサービスを提供するか」を考えることもマーケティング活動の1つです。たくさんの選択肢の中から、ターゲットユーザーに最も効率的に届けられる方法を模索します。

その6:どう認知してもらうかを考える

どうやってプロモーションをするか

魅力的な商品やサービスを作っても、ユーザーに伝わらなければその魅力は知ってもらえません。そこで「どうすればターゲットのユーザーに効率的に商品を認知してもらえるか」という戦略を立てます。

最終的には…

結果として売上や収益が伸びる

これらの活動を通して、より多くの人に商品やサービスを届け売上や収益を伸ばすこと。これがマーケティングです。

マーケティングの成功事例

ここでは成功事例を2つだけ紹介します。あくまでも一例に過ぎず「●●をしたから成功した」と簡単に言えるわけではないことにご注意ください。

廉価スマホの例

スマホ

前段:日本企業の失敗

iPhoneが普及し始めた頃、多くの日本企業がスマホ事業に手を広げるようになりました。「ブランド的にも、性能的にもiPhoneを超えるようなスマホを作ることはできない」ということは冷静に考えれば分かったはずですが、日本企業はここで誤った戦略を取りました。iPhoneを買うようなユーザーをターゲットにし、真っ向勝負を挑んだのです。つまり、iPhoneと同じ(もしくはそれ以上の)価格帯でスマホの販売をはじめました。
取った差別化戦略は「iPhone以上に機能を豊富にすること」です。手書き入力やワンセグ、赤外線機能などのあまり必要性のない機能をたくさん付け、肝心の部分がおろそかに。結果、惨敗することになりました。

日の丸スマホ完全撤退の危機-産経ニュース

中国メーカーの成功

中国の「シャオミ」や「オッポ」などのメーカーは、早々と「iPhoneを買えないような人々」をターゲットにした廉価スマホの開発に乗り出しました。iPhoneよりずっと安い価格で、そこそこの性能・機能のスマートフォンを提供したのです。世界的に見れば、iPhoneの価格帯に手を出せない人というのはたくさんいます。結果として、シャオミは会社設立からたった5年で1億6000万人という膨大なスマホユーザーを築きました。 その後、日本企業も慌てて格安スマホ事業に進出しましたが、時すでに遅し。

R25の成功事例

r25

まだスマホが普及する前「R25」という人気フリーペーパーがありました。隔週で50万部近く発行される時期もあったそうです。

秀逸なターゲット設定

R25のメインターゲットは、25〜34歳の男性サラリーマン。当時は、電車通勤でのスキマ時間にすることがハッキリと決まっていませんでした。 そこで、リクルートは「サラリーマンが長い時間を過ごすわりに、やることが決まっていない電車通勤のスキマ時間」に目をつけました。
駅のラックなどにフリーペーパーを設置すれば、気軽に手にとって電車通勤のスキマ時間で読んでもらうことができます。内容も、スキマ時間に読めるような小分けされたカジュアルなもの。ターゲット像がとにかく明確に設定されていたのです。
スマホの普及に伴いR25は撤退を余儀なくされましたが、当時の状況を考えれば、間違いなく成功したマーケティング事例の1つと言えるでしょう。

意味のあるマーケティング活動の進め方

ここからは「具体的にどのようにマーケティング活動を進めるべきか」、その方法を紹介していきます。

フレームワークに頼らない

マーケティングと言うと、大抵「4P」「4C」「PEST分析」「SWOT分析」などの小難しいフレームワークが登場します。これらはシステマチックに戦略を考えるうえで有効ではありますが、いきなりこれらのツールを使えば、肝心の「ユーザーが喜ぶものを、ユーザーが喜ぶ形で届けよう」を見落としてしまいやすくなります。ひとまず、フレームワークにはとらわれずにマーケティング活動を行うのが良いでしょう。

理想的な進め方

理想的な進め方例を紹介していきます。以下におおまかな流れをまとめました。

進め方
  • STEP.1ユーザーは「誰か」を考える
  • STEP.2ユーザーが「求めているもの」を考える
  • STEP.3ユーザーへの「届け方」を考える
  • STEP.4ユーザーへの「伝え方」を考える
  • STEP.5事業性を検証する
  • STEP.6【リリース後】
    フィードバックをもとに1〜4を調整する

順番に見ていきましょう。

STEP.1 ユーザーは誰なのかを考える

ユーザー像を考える

一番はじめに明確にするべきは、「誰に対して商品やサービスを提供するか」ということです。ターゲットユーザーが曖昧だと、商品の設計も、流通方法やプロモーション方法の決定も難しくなります。逆に言えば、この部分を明確にしておくと、その後のステップがずっと進めやすくなります。

ユーザーが広くとも具体的に決めておく

老若男女問わず利用するようなサービスであっても、誰をメイン・ターゲットにするかは決めておくのが良いでしょう。

ペルソナ

結果として、幅広いユーザーに利用されることになるかもしれません。しかし、スムーズにものごとを決定し、担当者間の認識のズレを防ぐために、マーケティングのステップではユーザー像を明確にしておくのが良いのです。

ペルソナ

担当者同士の認識を明確にするために、ターゲットユーザー像は、性別や年齢だけでなく、家族構成や職業や収入、ライフスタイル、趣味、価値観などまでとことん具体的にしておくのも有効です。このような手法は「ペルソナ」と呼ばれます。

STEP.2 ユーザーが求めているものを考える

フィードバックを活かす

次にターゲットユーザーが「何を求めているのか」じっくりと検討し、商品やサービスに落としこんでいきます。言い換えると、ユーザーを満足させる商品やサービスの「コンセプト」や「キモ」を作り上げていきます。必要に応じて、ヒアリング調査などを行っても良いでしょう。ただし、ユーザー自身が気づいていないニーズがある可能性も考慮する必要があります。

ユーザーの生活を具体的に掴む

また、ターゲットユーザーの生活や行動を事細かに洗い出し、どこに「不満」や「ニーズ」があるのかを検討していくのも1つの手です。

「多機能=喜ばれる」は間違い

多くの人が陥ってしまうのが「多機能にすればユーザーも嬉しいはず」いう安直な考え方です。機能がつくほど重要な操作方法まで分かりづらくなり、(たいてい)価格も上がります。デメリットもきっちりと考慮するようにしましょう。

STEP.3 ユーザーへの「届け方」を考える

届け方を考える

ターゲットユーザーに対して「どのように商品やサービスを届けるか」を考えます。これは非常に重要で、同じ商品であっても届け方次第で、事業性は大きく左右されます。例えば、何らかの商品を販売する場合には、以下のようなポイントを検討します。

  • 実店舗で売るか or 通販にするか
  • 自店舗で売るか or ショッピングセンターやコンビニに置いてもらうか
  • 通販ならAmazonで売り出すか or 独自のネットショップを作るか
    など

重要なのは「どのような形にすればターゲットユーザーと最も効率的に接点を持つことができるか」というようにユーザーを起点に考えることです。

STEP.4ユーザーへの「伝え方」を考える

伝え方を考える

また「いかにターゲットユーザーに認知してもらうか」という伝え方も決めておくべきでしょう。今の時代には、たくさんの選択肢があります。必ずしも広告費にお金をかけることが効果的とは限りません。
例えば、以下のようなお金をかけない手段もあります。

  • Twitterを活用商品やサービスにまつわるリツイートされやすい投稿をする
  • Facebookを活用いいねがつきやすい投稿をする
  • Instagramを活用ハッシュタグを使いつつ、目を引く美しい写真を投稿する
  • ブログを活用するGoogleで「商品に関するキーワード」で検索順位を上げるなど
  • オリジナルチラシを配るCanvaを使っておしゃれなチラシを作る。印刷費はかかりますが。などなど

ソーシャルメディアを活用するにしても、Twitter、Facebook、Instagram、Lineどれを使うかが重要になります。それぞれでユーザー層が大きく異なるからです。例えば、女子高生がターゲットになるのであれば、Facebookを使うべきではありません。間違いなくInstagram(もしくはTwitter)を活用するべきでしょう。

STEP.5 事業性を検証する

事業性を検証

実際に商品/サービスを形にする前に、しっかりと事業性を検討しておく必要があります。STEP.1〜4の振り返りも兼ねて、じっくりと行いましょう。

差別化はできているか

他に似たような商品/サービスを提供している会社はないかをよく調べます。ある場合、以下の2点どちらかで差別化ができているかをよく検討しましょう。

  1. そもそもユーザーが違う自社の商品は、既存の商品では拾えていないユーザーをターゲットにしている
  2. ユーザーが乗り換える価値のあるものを提供するユーザーは既存の商品に不満を感じており、提供しようとしている商品はその不満を解決できる

ただ「競合と何かが違う=差別化」とは言えません。ユーザーにとって嬉しい“違い”を作ることが重要です。

CHECK

例えば「競合よりも価格が安い」というのは必ずしも差別化要因にはなりません。 「価格に不満を感じているが、他に選択肢がないためしぶしぶその商品を選んでいる」ユーザーがたくさんいて、ようやく差別化できていると言えるのです。

十分に収益性は見込めるか

また、収益性が見込めるかどうかの検討もじっくりしておく必要があります。できる範囲でユーザー数を想定し、原価、人件費、売上、収益などを想定しておきます。

機会費用も忘れずに

「その事業に取り組むことで得られるもの」と「その事業に取り組まなければできること(得られるもの)」を天秤にかけてみましょう。このような「ある行動を選択することによって失われる他の行動の最大利益」を機会費用と呼びます(詳細)。

本当にユーザーに受け入れられるか

ハッキリとした答えを出すのは難しいと思いますが、できる範囲で「その商品は本当にユーザーに受け入れるのか」を検証しましょう。また、STEP.1〜4に無理な部分がないかも再度振り返ってみましょう(必要に応じて前のSTEPに戻ります)。

フレームワークを使うのもこのタイミングで

4Cなどのマーケティング手法を活用するのであれば、このタイミングが良いかと思います。様々な視点から事業が成立するかを検討するのは重要だからです。

STTEP.6 フィードバックをもとに1〜4を調整する

フィードバックを活かす

ここからは商品/サービスの提供を開始してからの話です。マーケティングは商品/サービスをリリースしたら終わりではありません。
ユーザーのフィードバック(反応)をもとにSTEP.1〜4に戻り、何が間違っていたのかを洗い出します。そして、調整可能な部分はすみやかに調整していきます。

どうやってユーザーの声を集めるか

以下のような方法が一般的かと思います。

  • ユーザーにヒアリングをかける
  • アンケートを取る
  • ソーシャルメディアでの反応を見る例:Twitter検索をする

ただし、ユーザーの意見が全てとは限りません。実は10人のうち9人は満足しており、1人だけが不満を感じているかもしれません。その部分に変更を加えることで、満足している9人のユーザーが失われないか、ということは慎重に考える必要があります。


ここまでマーケティングの理想的な進め方を6ステップに分けて解説してきました。あくまでもこれは一例であり、必ずしもこの進め方が良いとは限りません。例えば、開発コストの低いウェブサービスであれば、深く検討するよりも、いち早く作ってリリースした方が良いかもしれません。
ケースバイケースで最適な方法を見極めるのが良いですね。

より深く学びたい人向けの良書

最後に、より深く学びたい方に向けて、3冊だけ良書を紹介します。

マーケティングを学ぶ

マーケティングを学ぶ

マーケティングの本というと「フレームワークを活用してどう売上を伸ばすか」のようなテクニック寄りのものばかりな印象がありますが、こちらはより本質的な部分について書かれています。有名企業の事例も詳しく書かれており、それだけでも読む価値があります。

論理トレーニング101題

論理トレーニング101題

マーケティングのスキルを身に着けようとフレームワークや用語を覚えるより、論理的思考力を磨いた方が結果としてよっぽど実際の仕事で役に立つのではないかと思います。論理的思考力を磨くなら、この本で決まり。

予想どおりに不合理

予想どおりに不合理

行動経済学について書かれた本です。人間の非合理的な行動について面白おかしく書かれています。マーケティングとは直接関係ないかもしれませんが、人の行動原理を知るという意味でおすすめです。

なお、下の2冊については、こちらの記事でも紹介しています。興味のある方はぜひ目を通してみてください。

サルワカ