IoTとは?事例で学ぶ「モノのインターネット」の意味

IoTを学ぼう

最近、本や雑誌、新聞など至るところでIoT(アイ・オー・ティー)という言葉をよく見かけます。さらっと使われることが多い言葉ですが、一体どのような意味があるのでしょうか。
この記事では、具体的な実例も取り上げながら「IoT」について詳しく解説していきたいと思います。

1. IoTとは?

IoTはInternet of Things(モノのインターネット)の略称です。号泣している人の顔文字ではありません。

IoTとは

手に取ることのできる現実世界のモノがインターネットに接続し、何かを操作したり、情報を交換したり、データを分析したりする仕組みをIoTと呼びます。

iotとよく呼ばれるもの

本来はインターネットにつながっていなかった物が、IoTにより新しい役割を担ったり、今まで以上の働きをするようになるのです。

身の回りのあらゆるものがIoTの対象に

私たちが触れることのできるあらゆるモノがIoTの対象になります。以下にほんの一例を挙げてみます。

  • クルマ
  • メガネ
  • エアコン
  • 自動販売機
  • 靴や衣服
  • 冷蔵庫や電子レンジなどの家電

IoTの対象となるモノは幅広く、中には「こんなものまでインターネットに繋がってしまうの?」と思うようなものも含まれます。

iotの定義その2

なお、人によっては「あらゆる物体がインターネットに接続する社会」のことをIoTと呼んだりもします。その定義はやや曖昧なのです。

簡単な例:自動販売機

自動販売機のイラスト

例えば「自動販売機の補充」をIoTにより効率化してみましょう。

本来は…

自動販売機の補充の画像

定期的に、トラックで担当者が循環に来て、無くなった飲み物を補充します。当然ですが、よく購入される種類とされない種類があります。

1週間に1回補充される自動販売機では、一部の人気の飲み物が補充後2日で売り切れになってしまい、その後5日間は購入することができない、なんてことも起こってしまいます。

IoTだと…

iotによる飲み物の補充の必要性を伝える

自動販売機がインターネットに接続されます。そして、管理会社のパソコンや担当者のスマホと常につながるようになるのです。

IoTで補充の指示を出す

飲み物が無くなったら、自動販売機が「コーラがなくなったよー!」とネットワーク経由で担当者のスマホに連絡を送る、というようなことができるのです。つまり、飲み物が切れたとき(切れそうなとき)にのみ補充ができるようになるわけです。この方が効率的ですよね。

MtoMでもっと効率的に

上の例はIoTの初期段階です。さらに物と物が繋がれば、人が関与しなくても「自動で補充される仕組み」や「生産量を自動調整される仕組み」が出来上がるのです。物と物が繋がる状態は、MtoM(マシン to マシン)と呼ばれたりします。
MtoMにより、さきほどの自販機の例をより進化させてみます。

IoTな自販機の補充
  • 【自販機】
    飲み物が切れたら管理システムに通知
  • 【管理システム】
    必要な飲み物/本数を算出
    出荷システムに通知
  • 【工場の出荷システム】
    トラックに飲み物を自動で積み込む
  • 【トラック】
    自動運転で自販機まで届ける
  • 【トラック⇒自販機】
    自動補充
  • 【管理システム】
    クラウドで補充情報を管理
    ビッグデータに
  • 【管理システム】
    ビッグデータを分析し
    飲み物の消費傾向を把握
    (設置場所別・時期別…) 工場へ通知
  • 【工場】
    生産量を自動調整

技術的にまだ難しい部分はありますが、このように様々な物がインターネットで繋がり合い、効率的に何かを生産したり、生活を便利にするような仕組み=IoTなのです。

2. IoTの歴史

ここで簡単にIoTの歴史を見てみましょう。

用語としては意外と昔から使われていた

意外にも昔から使われていたのがこの言葉です。

IoTという言葉は、1999年にケビン・アシュトンが初めて使ったとされる。当初はインターネットを活用した商品管理システムのことであった。


ー That Internet of Thing’s thing

実際、IoTという言葉が広く使われるようになったのは、2010年頃〜ではないでしょうか。

データで見るIoTの成長

次にIoTがいかに今成長している分野なのかをデータで見てみましょう。

IoTデバイスの数

IoTデバイスが普及するまでの歴史出典:Ericsson Report

上図は2016年に作成された世界中のIoTデバイス数の推定です。縦軸の単位は10億です。2009年時点では各地域「数億個」だったのに対して、2015年時点では「数十億個」という規模になっていることが分かるかと思います。

サルワカくんの顔(通常)
サルワカくん

なお、1番上の青の折れ線がアジア圏を示しています。アジアでは、世界で最もIoTデバイス数が多くなっていますが、これは「アジアが進んでいる」というわけではなく、アジアの人口が世界で圧倒的に多いからですね。当然、その分だけデバイス数は多くなるのです。

グローバルな投資額

IoT投資額出典:IoT Briefing

上図はグローバルでのIoTへの投資総額の見積もりです。2015年のデータなので、2016年以降のデータは推定ですが、それでも大きな成長が見込める分野であることが分かるかと思います。

3. IoTの成長の理由

次に、近年になって急速にIoT分野が成長している理由を以下にまとめてみました。

理由1. センサーや通信チップのコストダウン

IoTでは1つ1つのモノに「センサー」や「通信チップ」を取りつける必要があります。当然、たくさんのセンサーが必要になります。

センサーのコストダウン

最近では、センサーのコストが下がっており、IoT導入により享受できるメリット > 導入コストというような状態が出来上がりつつあるわけですね。

理由2. センサーのサイズが小さくなっている

例えばスマートウォッチを使ったヘルスケア・サービスであれば、製品サイズを小さく、かつ軽量にすることは最重要です。

センサーサイズの縮小

小さいセンサーサイズでも十分な性能が発揮できるようになったことも、IoTの普及に繋がっているはずです。

理由3. システムの構築が楽に

ゼロからIoTのシステムを構築するのはかなり大変ですが、最近では便利なサービスが数多く登場しています。

aws dashboard

例えばAmazonのAWS IoTでは、IoTの基盤システムを提供・管理してくれます。

これらのサービスを活用することで比較的楽にIoTの仕組み作りをすることができます。

理由4. スマートフォンの普及

スマートフォンの普及

これが1番大きな理由でしょう。様々な操作、それも高度な操作をスマホアプリを通して行うことができるようになりました。テレビやエアコンのリモコンは、スマホの中に入れられるようになりました。

つまり、スマホを起点にして簡単にIoTの仕組みを作れるようになったのです。スマホであれば「いつでも手元にあり」「操作インターフェースも自由に作れる」のでこれを活用しない手はありません。

iphone

また、iPhoneにより誰もが「イノベーションの破壊力」を目の当たりにしたことも大きいはずです。世界が変わる瞬間を目撃し、多くの人が「まだ新たな可能性が秘められている」ことを理解しているのです。

4. IoTの事例11選

さて、ここからは具体的な事例を紹介していきたいと思います。

1. 飛行機の事例

従来飛行機の点検・メンテナンスは地上で技術者が行うしか無く、機体が着陸してから逐一点検からはじめる必要がありました。予想以上に時間がかかることもしばしばあり、フライトの遅延や欠航がたくさん生じていました。

IoTにより…

iot×航空会社

フライト中に機体が自身で、不具合がないか点検を行います。異常があればそれを地上にいる技術者に無線で伝えます。

機体の着陸前に、技術者が「何をメンテナンスするべきか」知っておくことができるのです。前もって準備ができるので、もちろん作業時間の大きな短縮になります。GEのチーフエコノミストであるマルコ氏によると、このシステムがあれば、毎年6万件ものフライトの遅延/欠航を防ぐことができるのだそうです。

2. 工場の事例

上のような例は、工場の機械管理でも既に導入されています。

従来技術者が1つ1つの機械を定期的に見て回り、異常を見つけたら直していました。突然故障して「工場のラインが止まってしまう…」というようなトラブルも頻繁に発生していました。

IoTにより…

工場×iot

機械が自分自身で点検を行うようになります。異常があれば、技術者の持つスマホやタブレットに通信で伝えます。技術者は異常がある機械のみメンテナンスを行えば良いのです。

さらに故障する前に対処ができるため、ラインが止まってしまような事態を防ぐことができます。

3. 風力発電の例

従来風の向きが時間帯によって異なるにも関わらず、風車の羽の向きは常に固定されていました。

IoTにより…

風力発電

風向きをセンサーで読み取り、最も効率よく発電できるように羽の向きを調整します。

GEのマルコ氏によると、このようなシステムにより10年前と比べて風力発電の効率は6倍にも上がったと言います。

4. 自動運転

自動運転についてはご存知の方も多いかと思います。

従来日本では毎年4000人近い人が交通事故により無くなっています。また、渋滞は大きな経済損失を生み出しています。

自動運転により…

自動運転

研究機関の「Eno」によれば、自動運転により、交通事故に巻き込まれる人の数を90%減らすことができるのだそうです。

また、完全な自動運転が実現すれば、米国だけでも約43兆円のコスト削減が見込めるだと言います。

サルワカくんの顔(通常)
サルワカくん

なお、Teslaの電気自動車には、既に部分的に自動運転機能が実装されており、完全自動運転も試験的に行われています。完全自動運転の映像は、Teslaの公式サイトで見ることができます。

5. ドローンによる配達

従来例えば、アフリカなどの一部の地域では道路が整備されておらず、車での荷物の配達に何日もかかってしまいます。医薬品などの急を要するものでさえ、届くまで何日間も待たなければならないのです。高いコストもかかります。

ドローンにより…

ドローン

ドローンによりどんな地域にでも、低コストかつ迅速に荷物を配達することができます。
緯度と経度さえ指定すれば、リモコンのような機械で操作することなく自動配達することが可能なのです。

Airborne社のアンドレア氏によると、とあるドローンは約10km/15分のスピードで移動できると言います。最短距離を直進できるため、多くのケースで車より早く届けることができます。そして、その10kmにかかる輸送コストはたった24セント程なのです。

サルワカくんの顔(喜)
サルワカくん

なお、ドローンがセンサーや通信により正確に着陸する技術は進歩しており、自動で燃料を交換することも可能だと言います。 また、英国ではすでにAmazonがドローン配達を試験的に行っています。
アマゾン、ついに「ドローン配送」を実施

6. ヘルスケア

従来病院では未だに聴診器を使って、基本的な健康状態を見ることがよくあります。しかし、心臓と呼吸の音を少し聞くだけでは分からないことも多々あります。

IoTにより…

スマートウォッチでヘルスケア

スマートウォッチや、スマートファブリック(衣服にセンサーを取りつけて通信するシステム)により、心拍数や発汗、活動量、体温、血圧などの推移を記録できます。

それを医師に見せることができれば、心臓の音を数秒聞くよりも、ずっと正確に体調を伝えることができます。
また、身体に何らかの異変が察知されたときには、アプリなどを通して患者に伝えることができれば、迅速に病院に行くことができます。「◯◯という病気の可能性があるので、病院に行ってください」とアプリから忠告が出れば、診察遅れにより取り返しがつかなくなることを避けやすくなるはずです。

7. 手術での事例

心臓専門医のエリック・トポル氏はTEDでIoTを活用した医療の未来を語っています。ここではその中で紹介されていた事例の中から1つ紹介します。

従来交通事故などで複数の箇所に損傷を負った患者がいるとします。複数であるため、複数の専門医が診察する必要があります。従来だと、複数の専門医が順番に診ていく必要があります。これでは処置に時間がかかってしまいます。

IoTにより…

医療に活用する事例

例えばスキャンした身体データを、外科医、神経医、心臓専門医など世界中の複数の医師に同時に共有すれば、迅速に、効率的に処置を行うことが可能になります。

また、メスなどの手術器具にセンサーや小型カメラを埋め込み、肉眼では見えづらい部分はモニターに情報を映しながら手術すれば、より精度が上がるはずです。

8. スマート家電

イメージしやすいIoTがスマート家電なのではないかと思います。電気、エアコン、冷蔵庫、オーブンなどあらゆるものをインターネットに接続して、より便利でスマートに使えるようにする、というものですね。

スマート家電なら…

スマート家電

帰宅前にスマホからエアコンをセットしたり、買い物中にスマホから冷蔵庫の中身を確認できたりすることが可能になります。

サルワカくんの顔(喜)
サルワカくん

この分野は日本ではパナソニックが積極的にすすめているのですが、現状イマイチ決め手に欠ける印象です。パナソニックの家電をわざわざ買い揃えるほどのメリットは感じられないのですよね…。

9. 農業×IoTの事例

従来農業にはかなり非効率的な部分が多くあり、数多くの農業従事者が毎日のように畑を訪れて管理をする必要がありました。

IoTにより…

農業の事例

例えば、ケニアのスタートアップ「Illuminum Greenhouses」では、ソーラーシステムとセンサーを用いて「ハウス内の気温」や「土壌の湿度」を測り、さらに自動で水の量を調整してくれます。

他にも農業分野では積極的にIoTが取り入れられています。膨大なデータをクラウドで管理し、栽培や収穫をより効率的にできるようなシステムも登場しつつあります。日本にもe-kakashiなど 有望な農業系IoTサービスがいくつかあるので、是非チェックしてみてください。

10. 災害防止

従来災害が起きたときの情報源は「人による観測」でした。そのため、どうしても気づかずに逃げ遅れてしまう人が出てしまいます。

IoTにより…

土砂災害を予測する事例

例えばNECは2016年〜土砂災害察知サービスを提供しています。土壌の水分量や粘着力などを感知し、土砂崩れの危険性が高い条件になったときに、住民に通知することができます。

このようなサービスは、自治体との連携を通して、周りに山が多い市町村などを中心に普及していくのではないかと思います。

11. IoT×キャリーケース

キャリーケース

例えば、Bluesmartというキャリーケースは、ユーザーが嬉しい便利な機能を備えています。

まず、自分の近くから離れた場合には、スマホにアラートを出してくれます。たとえ盗まれたとしても、スマホを通してGPSで位置を追跡することができます。さらに重量計にのせなくても、アプリを通して一瞬でキャリーケース全体の重さを簡単に測ることができます。これは飛行機によく乗る人からするとものすごく嬉しい機能ですよね。

5. IoTを学ぶためにおすすめの本

ここまでIoTの基本的な説明と、11個の事例を紹介してきました。最後に、本格的にIoTを学びたい人におすすめの本を紹介しておきます。

IoTとは何か

IoTとは何か

IoT関連の本は有名どころを5冊ほど読みましたが、これが1番学びがありました。著者がその道の権威と呼べる超有名なお方です(詳しくはTRONプロジェクトを読んでみると良いかと思います)。自身の経験を絡めながら、具体的にIoTによりどのように生活が変わるのかを詳しく紹介しています。
後半では、具体的にどのように普及が進み、どこがネックになり、日本の企業・法律の何がどう問題なのかなどが説得力たっぷりに説かれています。非常におもしろいので一度は読んでみてほしい1冊です。

IoTで激変する日本型製造業ビジネスモデル

Iotで激変する日本型製造業

図解が豊富で分かりやすくまとめられており、製造業に携わる人以外にも是非おすすめしたい本です。どちらかというと意思決定をする経営者向けの内容になっていますが、IoTを知るという意味では誰が読んでも役に立つのではないかと思います。経営者にとっては、具体的にどのような方針でIoT事業を進めていくべきか、という点まで書かれているので参考になるかと思います。

IoTが拓く次世代農業

iotが拓く次世代農業

農業分野のIoTについて分かりやすくまとめられた本です。栽培・収穫の効率化という点にも触れられていますが、それ以上に農業のマーケット構造や、独特な規制にどう対応していくか、など比較的広い視点で書かれています。農業従事者以外も教養として読んでおくとよいかもしれません。

2100年の科学ライフ

2100年の科学ライフ

IoTというよりも10年、30年、50年先にどのような社会(というより世界)が訪れるのかを具体的に想像するのに非常に良い本です。
遺伝子操作やナノテクノロジー、人工知能などIoTとは関係ないような話についてもたくさん出てきますが、本書の1番最後に小説調に書かれた「未来の生活」で全てが繋がります。僕自身2〜3回読んでいますが、それでも頭に入り切らないほどに内容が濃いです。

ここまでIoTについて詳しく解説してきました。事例などは今後も追加していきたいと思います。

サルワカ