見るだけで楽しい本の装丁デザイン(表紙)65選

本の装丁デザイン

本の装丁(表紙デザイン)は、読み手のその本への印象を大きく左右します。

本の装丁デザイン

装丁がかわいかったり、オシャレだったりするとそれだけで読みたくなるのです。後々読んだ本を振り返るときにも、内容以上に頭に浮かぶのが装丁だったりします。

ふと「見れば読みたくなり、さらに印象に強く・長く残る装丁とはどんなものだろう?」ということが気になり、仕事帰りに慣れ親しんだ大きな本屋さんに装丁探しの旅に出ました。今回はそこで見つけた中でも特に秀逸だと感じたものを65冊厳選して紹介します。洋書も多数含まれています。

1. “発想の勝利”な装丁デザイン

思わず目を引く広告デザイン

思わず目を引く広告デザイン

タイトルの「目を引く」を、デザインで表現しています。パッと見のインパクトがあり、さらに意味が分かれば驚きのある良く出来た装丁です。

てにをは辞典

てにをは辞典

よく見ると、象のイラストも、象の鼻から出る水も、草の緑の模様も、辞書の文字で形成されています。これは素敵な発想。

Against Happiness

Against happiness

ここから数冊洋書を紹介。黄色に塗りつぶされた背景に、アーチ状に小さく文字が並んでいます。このアーチはニッコリした口元が上下反転したものです。幸せ(Happiness)の反対(against)を、口元を反対にすることで表しているわけですね。なんとクリエイティブ。

Loneliness

Loneliness

邦題は「孤独」。よく見ると「Loneliness」の「i」の点がありません。点は右上にポツンと孤立してしまっているのですね。

The Humbling

The humbling

上から射し込むスポットライトが床を突き抜けて、タイトルにかかっています。目を引く面白いデザインの装丁ですね。

One Day We’ll All Be Dead…

One Day We'll All Be Dead and None of This Will Matter

タイトルの「One Day We’ll All Be Dead and None of This Will Matter」を意訳すると「人はいつか死ぬ。今起こっているは何も重要じゃなくなるんだ」となります。しかし線が消されている部分を除くと「One Day This Will Matter(いつか、このことが重要になるだろう)」という真逆の意味になるわけです。よく考えつきますね。

Whiplash

Whiplash

見た目のインパクトから選びました。これは一度目に入ると気になって仕方なくなりそう。

Louis Vuitton

louis vuitton

ルイ・ヴィトンのブランディングについての本。本のカバーにリアルな革の取手がついています。

Design the Life You Love

design the life you love

こちらは手帳のようなデザインがプリントされた表紙となっています。タイトルが「思い通りの人生を設計しよう(意訳)」なので、たしかに手帳のイメージがマッチします。

HOLES

Holes

「HOLES(穴)」を覗き込んでいるようなグラフィックをのせるという内容のイメージがしやすい装丁です。

The Doorposts of Your House

The Doorposts of Your House

橙色の屋根がタイトルの文字となっています。見た目にインパクトがあるだけでなく、グラフィックが綺麗なので読みたくなりますね。

ラーメン、そば、うどん

ラーメン、そば、うどん

さて、日本の本に戻ってきました。こちらは雑誌BRUTUSの麺特集の表紙です。ラーメン、そば、うどん、それぞれのフォントがイメージとぴったりと合うようになっているわけです。これはなんとなく分かりますね。BRUTUSの装丁デザインは本当にどれも秀逸なので、こちらから色々と見てみると面白いかもしれません 。

2. ユニークで読みたくなる装丁デザイン

Alena

Alena: A Novel

絵の具がべったりと塗られたような表現はインパクトがありますね。これは比較的作りやすいデザインなのではないかと思います。

ドストエフスキー

ドストエフスキー

長時間見ていると、頭がおかしくなりそうな幾何学模様の装丁です。肝心の「ドストエフスキー」は全く目立たず、ただ目を引いてもらうためだけに作られたようなデザインですね。

どこいったん

どこいったん

世界的に有名な絵本かと思います。サイコパスな目をしたクマがでかでかと描かれているでもインパクトがありますが、タイトルのフォントの選び方もぴったりです。
装丁には関係ありませんが、原題の「I Want My Hat Back」を「どこいったん」に訳したのは天才的。

The Memory Book

The Memory Book

タイトルが付箋がつなぎ合わされたように表現されています。著者名まで付箋にメモしたかのように書かれているあたり、思い切っていますね。

The Psychopath

The Psychopath

ブックカバーが半分破られたようなデザインです。「The Psychopath(サイコパス)」らしさがよく出ており秀逸。

帰ってきたヒトラー

帰ってきたヒトラー

こちらは世界的なベストセラーですね。映画化もされています。シンプルなデザインながら一目見て「あぁ、ヒトラーだ」と分かるのが不思議。

The Craftsman

the craftman

鉛筆が並び、タイトルやら著者やら出版社やらは全部、鉛筆の上に書かれています。どれがタイトルなのか一目見ても全く分からなそうですが、目は引きます。ちなみに「Craftsman」は「職人」という意味。

ジョン・レノン レターズ

john lenon letters

スケッチのようなゆるいジョン・レノンのイラストが最大限引き立つような秀逸なデザインになっています。文字はイラストと同じような手書き風で統一感があり、全体のレイアウトは余白が十分に取られており、装丁全体がスッキリ美しく見えるのです。

シナトラ・コンプリート

シナトラコンプリート

レコードがケースから半分出ているようなデザインです。レコードとケースはシンプルな塗りで構成されているため、上に文字がのってもゴチャゴチャして見えません。

Boundaries

boundaries

「Boundaries」は「境界」という意味です。説明するまでも無いかもしれませんが、鉛筆の線=境界線となっているのですね。よく見ると、境界の左右で文字色が変わっています。洋書だとこのような「うまいこと内容を表現した」系の装丁が多いという印象です。

This Is Where It Ends

This Is Where It Ends

チョークが粉ごなに砕かれている瞬間という斬新なグラフィックです。ちなみに本の内容は「銃社会」について。

That’s When the Knives Come Down

Daga 15

タイトルが短く刻まれており、それぞれの背景は細長く白に塗られています。アーティスティックですね。

And Then There’s This

and then theres this

見ているだけで嫌になる「開かれまくったウィンドウ」。読みたくなるかどうかはさて置き、目を引く強烈さはあります。

The Visible Man

the visible man

壁に沿って、タイトルまで歪んでいます。発想がおもしろいですね。

デザインの組み方

デザインの組み方

◯を×使ったシンプルなグラフィックながら、余白の使い方から配色までよく出来ています。

誰も知らない世界のことわざ

誰も知らない世界のことわざ

隅から隅まで手描き風で統一感があります。少し歪んだ枠もまたかわいいのですよね。

ころころころ

ころころころ

1984年に初版が出版されたにも関わらず、未だに本屋ではよく見かける絵本の名著です。超シンプルな表紙には読みたくさせる不思議な魅力があります。

なるほどデザイン

なるほどデザイン

日本でトレンドなデザインも1つ紹介。イラストは、人気イラストレーターのNoritakeさんによるものです。「孤独の果てで犬が教えてくれた大切なこと」などもNoritakeさんが描いています。やっぱりシンプルで分かりやすくて、さらに老若男女に受け入れられる「かわいさ」があるんですよね。このイラストがのっているだけで「内容もスッキリとしてそう」という印象を抱いてしまうから不思議。

3. タイポグラフィで魅せる装丁デザイン

タイポグラフィとは、ざっくりというと「文字のデザイン」のことです。詳しくは、下の記事で解説しています。

世界で一番美しい名画の解剖図鑑

世界で1番美しい名画の解剖図鑑

GREATの文字の裏に名画がチラ見えするユニークな装丁です。手に取りたくなりますね。

MOTOWN

MOTOWN

CDアルバムのレコードにありそうな写真をうまく使った表現です。背景の黒がまたカッコよさを演出しています。

BRUTUS NY特集

Ny

BRUTUSのニューヨーク特集です。半透明のNYを最大限大きく配置するという大胆な表現がとてもおしゃれ。僕もまんまと買っちゃいました。

サードウェーブ・デザイン

サードウェーブ・デザイン

壁にペイントされている文字がそのままタイトルとなっています。モノクロながら華やかさがあります。

Little Victories

Little Victories

文字の輪郭が荒々しく、色鉛筆(クレヨン?)で塗られています。子どもらしさを表現するにはピッタリのデザインですね。

INTO THE WILD

into the wild

映画化もされている「INTO THE WILD(荒野へ)」の書籍の表紙です。シンプルな構成ながら美しいですね。

The Push

Dagg

文字で写真が切り抜かれたワイルドなデザインです。Photoshopを使えば簡単にできる表現ですが、日本ではあまり見かけませんね(文字で写真を切り抜く-サルワカ)。

WAGASHI

WAGASHI

明朝体と大きめにとられた余白により「和」な雰囲気が出ています。「白の中にポツンと配置されたピンクの和菓子」という構図が、少し日本の国旗を連想させ、さらに和なのです(デザイナーもそこは意識していないかもしれませんが)。

日本語のロゴ

日本語のロゴ

タイポグラフィーを前面に押し出した装丁です。デザイン系の専門書でよく見かける表現かもしれませんね。

PEAK

PEAK

PEAK(ピーク)のAを山に見立てて、そのてっぺんに旗をつけるというクリエイティブな発想。シンプルながら良いですね。

4. 美しい装丁デザイン

サイエンス ペディア1000

Sciencepedia

科学辞典とは思えないオシャレな装丁です。配色がとても綺麗です。

SONY DESIGN MAKING

Sony design making

SONYのプロダクトデザインを掘り下げる内容の本です。一瞬、抽象的なグラフィックに見えますが、黒色の物体はおそらくプレステですね。

グラフィックトライアル

GRAPHIC TRIAL

シンメトリックでカラフルなグラフィックが素敵です。細めでスマートなフォントといい、文字の配置といいよく出来ていますね。

Creative Workshop

Creative Workshop

カラフルな環が「デザインについての本であること」を端的に表しています。黒が背景に使われていおり、全体としては締まっているように見えます。

Secret Language of Color

secret language of color

こちらは配色についての専門書です。Oを色相環にするというのは素敵な発想。

色と意味の本

色と意味の本

こちらも配色について解説した本です。カラフルで半透明の文字を重ねて表現しています。この本については一度読んだことがありますが、隅から隅まで作り込まれた、非常に完成度の高い本です。中身のデザインはバリエーション豊かでどれも美しく、創作意欲が刺激されます。

配色デザインのアイデア1000

配色デザインのアイデア1000

配色の本が続きます。鮮やかなグラデーションとその上にのせられた太めの白文字がよくマッチしています。

100sビジュアルアイデア

100sビジュアルアイデア

100をカラーパレットで構成するという素敵な発想の表紙デザインです。ゼロが細長ではなく正円なところに優しさを感じます。これは読みたくなりますね。

ときめく和菓子図鑑

ときめく和菓子図鑑

一見、よく見かけるようなデザインに見えますが、かなりよく出来ているのではないかと思います。切り抜かれた和菓子や葉っぱまで配色が綺麗に揃えられており、かつレイアウトはきっちりとした整列からあえて少し崩すことで「楽しい雰囲気」を演出しています。見ていて心地が良いですね。

映像作家100人+100

映像作家100人+100

全体の配色が秀逸です。緑がかかった水色の背景と、箱の肌色の相性が良く、見ているだけで気持ちが良いですね。

世界の美しい地下鉄マップ

世界の美しい地下鉄マップ

本の内容が「美しい地下鉄マップ」なだけあり、表紙もカラフルに美しいものとなっています。

色の名前

色の名前

この本を選んだ理由は、文字の配色の美しさです。このような暗めの写真上にのせる文字は白でのせるのがオーソドックスな手法ですが、写真から抽出した色を文字に当てており、ユニークな見た目となっています。

Walkabout

walkabout

旅人フォトグラファーの竹沢うるまさんの写真集。表紙のデザインというよりウユニ塩湖の写真が美しいわけですが、見ているだけで心が洗われるようなので選びました。

GREEN SMOOTHIES

GREEN SMOOTHIES

実際に本を手にとってみると分かるのですが、中央のゴールドの「GREEN SMOOTHIES」の部分だけがツルツルとした素材になっており、まるでボトルに貼り付けられているようなのです。これは良く出来ています。本屋さんに行ったら是非見てみてほしい1冊。

プレミアムな和サンド

プレミアムな和サンド

レシピの本ってオシャレな装丁のものが多いんですよね。こちらはサンドイッチの写真がデカデカと載せられておりそれだけでインパクトがありますが、綺麗に引かれた白枠がスマートさ・オシャレさを出しています。

小さなごちそうタルト

小さなごちそうタルト

黒のスペースに細い小さめの明朝体フォントを配置することで、洗練された大人な印象を出しています。あと正方形なだけでオシャレさ1.5倍みたいなところはありますよね。

パン

Daga 44

パンの写真以外に色味のあるものを使わないモノクロなデザインです。余白の使い方が秀逸。

WIRED

Wired

テクノロジーとカルチャーの雑誌「WIRED」のとある号の表紙です。写真を90度横に傾けて配置する、というユニークな表現に惹かれたので取り上げました。

Designing Brand Identity

Designing Brand Identity

背景のカラフルで抽象的な表現がアーティスティックで美しいですね。

Penguin Guide

penguin guide

1000という文字を90度傾けて、その上に細かな文字をのせるというユニークでインパクトのある表現です。全体的にスッキリして見えて良いですね。

The art of horizon

the art of horizon

多重露光エフェクトにより幻想的な雰囲気が演出されています。

Paint by sticker

paint by sticker

こちらはLowPoly(ポリゴン)な表現でかわいくまとめられたデザインです。水色と橙色の配色も良い感じ。

France

France

手作りの旅行記感たっぷりのデザインです。ノートのかすれ具合や、年季の入ったような色味がリアル。

The Voices Within

The Voices Within

色使いと太めのフォントがかわいいデザインです。もやもやとしたグラフィックは、タイトルの通りVoice(声)の音波を表現しているわけですね。

Welocome to Lagos

Welocome to lagos

細かく描き込まれたイラストの中にタイトルが馴染んでいます。手にじっくりと見たくなります。

5. 感想

ここまで65冊の装丁を紹介してきました。書店で改めて感じたのは、最近だと大きめの文字を前面に押し出した表紙が非常に多いということです。

例えばこのような表紙ですね。「これから正義の話をしよう」が大流行したあたりから一気にこのような装丁が使われるようになった気がします。

イラストや写真を使わずにそれらしく見せることができ、楽でコスパが良いのだと思います。タイトルを見てもらいやすいですしね。とくにビジネス書だとこの傾向は顕著なような気がしました。
とはいえ、もう少しバリエーション豊かな表現が登場しても良いのではないかと個人的には思ってしまったりします。
装丁についてもっと深く知りたい方には有名な装幀家「鈴木成一」さんの「鈴木 成一、装丁を語る」を読んでみると良いかもしれません。その道のプロがどのような考え方と方法で表紙をデザインしているのかを知ることができます。

サルワカ